アウトドアを楽しみたいなら軽バンカスタムが最適
クルマをカスタムするのが不良の文化だったのは昔の話。いかにワルっぽく見せるかにしのぎを削ったり、やんちゃさこそがカッコ良さだった頃にはおそらく見向きもされなかったであろう車種が、軽1BOXだ。が、最近では状況が一変。ライフスタイルに合わせてクルマを楽しむ人たちが格段に増え、趣味に合わせたクルマ作りをする人が急増。キャンプブームも相まって、アウトドア人気が高まる昨今、その相棒に最適な軽1BOXに俄然注目が集まっている。岡山国際サーキット臨時駐車場で10月に開催された「キングオブKカーミーティング」で見つけた3台の軽バンも、楽しむための工夫に満ちた最旬仕様ばかり。
4インチアゲで仕事もキャンプも快適に
林業を生業にしているKサンにとって、このエブリイは仕事の相棒。とはいえ「仕事のためのクルマでも、どうせなら人と違うことがしたい」。さらにはアウトドア好きで、キャンプも楽しむため、どこにでも行けるクルマが便利。となったら仕様は「アゲ」が最適。アウトクラスカーズの4インチキットでリフトアップし、タイヤもサイズアップ。「おかげで轍にデフを当てずに済むようになったし、乗り心地も良くなりました。仕事でもとても役に立っています」。
フロントバンパーはNSステージ、サイドとリアはアウトクラスカーズのスチールアイテム。リアのボトム部分に純正白が残ってしまっていたのが気に入らず、華やかなアクセントとして蛍光イエローでペイント。そこだけ黄色だとバランスが悪いと考え、ダミーリベットや給油口、ブレーキローターも同色で統一する。
給油口はネットオークションでゲットした純正品を裏骨の無い所を探してくり抜き、黄色のアクリル板を両面テープで貼ってコーティングしたDIY。オシャレなステンシルや、その周囲のカーボン調のラッピング、デカールなども全てオーナーの自作である。
「全部自作なんで、みんなからどう見られているのかはわからないですけど。老若男女どんな方にでも『面白い』と言ってもらえるクルマが作りたいなと思っています」。
最新仕様はインテリア。シートはコブラのクラシック。タンレザーでシックな装い。アメリカンヴィンテージ風のテイストを出したく、ステアリングは細めのウッドタイプ、ドア内張りなどはスウェード調レザーを使い、イエローブラウンとダークブラウンのツートンで仕立て上げた。
ラゲッジもアメリカンガレージのようなオシャレな雰囲気。わざと年季を感じさせるようにペイントしたウッドを使ってラックを自作し、工具やアイテムをスッキリと収納。機能的にファッション的にも優れた空間に。
車検も通る左ハンドルのエブリイ
真鍋モータースのエブリイは、一見どこにでもいそうなシンプル仕様。ホワイトボディにストークのフロントバンパー。鉄チンホイールはラクティス純正の16インチ。オーバーフェンダーも車検範囲内に収めるべく、1センチのさり気なさ。そのまま素通りしてしまいそうになるものの、中に気付くと足を止めてしまう人が続出。何とこのエブリイ、左ハンドルなのである。
「軽の左ハンドルって売っていないですからね。逆輸入も出来ないし。でも無いものって欲しくなるじゃないですか。ならば作っちゃったら面白いかなぁっていう発想です」。
真鍋モータースは「普通の町の整備工場」。民間車検場なこともあり、ここで作る仕様は当然ながら全てが「合法」だ。「左ハンドルだからって車検に通らないわけじゃないんです。うちに持ち込んで頂いて作った左ハンドル仕様は、改造箇所申請をした上で、ちゃんと公認車検を取得しています」。ステアリング舵取り装置を筆頭に、ブレーキ関連装置やエアコン、ヒーターなどの移設やドアミラーの角度、水回りやワイパー部品の移設改造などなど、単純にハンドルを左に移動させるだけでは済まない、数々の加工を施した左ハン仕様。出来る限り純正部品を使用し、強度、性能もしっかり確保している。
この内装を見てもらいたく、プライベートガラスは素ガラスに変更。運転席側にはブリッドシートを奢り、特別なコックピットを完成させた。
リアスペースにはベッドスペースも作成。こちらは軽自動車を手軽にキャンピングカーに変貌させる「ちょいCam」というキットを使用して、天然木のベッドマットをセット。このエブリイはシンプルな「寝るだけキット」のみであるが、折りたたみ式テーブルや収納家具などをプラスしてグレードアップを図ることも可能である。