サーキットではコース幅の数10センチが大きな差になる
たしかに「クルマ一台分もコース幅を余らせ、コーナリングをしていては、タイムロスも大きいだろうが、数10センチ単位でも、タイムに影響するのだろうか?」と思う人もいるだろう。
その数10センチが大きな差になるのが、サーキット走行なのだ。例えばハイグリップラジアルを履いた、あるクルマのコーナリングフォースが最大時の横Gが1Gだったとしよう。このクルマでヘアピンコーナー(180度)を、半径25mのラインでタイヤの横力を最大限引き出したコーナリング(横G=1G)をしたとする。このときの旋回速度を計算すると、56.5km/hとなり、半円=ヘアピンの通過タイムは5.0秒になる。 これに対し、コーナーの入口と出口で、タイヤ2本分=50センチずつ内側を走って、半径が24mのラインを走ってしまったとすると、タイヤの横力を最大限使ったとしても、旋回速度は52.9km/h、半円=ヘアピンの通過タイムは5.13秒になってしまう。つまりヘアピンひとつだけで、0.13秒も失うことになるので、タイヤ1~2本分といえども、車幅感覚は非常に重要。
このようにサーキットでより早いタイムを刻むためには、車両感覚を磨くことが欠かせない。もっと速いタイムで走りたい、自己ベストタイムを更新したいと思っている人は、日頃から車幅感覚やタイヤの位置に意識を傾けて、まずは、コーナー入口とCP(クリッピングポイント)、出口の3カ所の縁石にタイヤを確実に触れさせることから練習してみよう。