8ナンバー福祉車両ならでは注意点とは
近年急速にその数を増やし、一般ユーザーの利用も多くなっている福祉車両。車いす利用のスロープやリフトなどを備えた仕様では「8ナンバー」登録となるのだが(装備や仕様によって5ナンバーまたは3ナンバーの福祉車両もある)、初めて購入するユーザーにとってはこの8ナンバーについて知らない人も多いだろう。そこで今回は通常の自家用車と異なる「8ナンバー福祉車両」の車検制度について見ていきたい。
取材をお願いしたのは福祉車両の販売やレンタカーを展開している「ユーイング」の中川さん。福祉車両の車検について話を聞いた。
8ナンバー車は初回車検が2年
まずは普通乗用車との違いから確認しよう。
「大きく異なるのは新車購入した場合の車検期間です。普通車だと初回車検は新車登録から3年ですが、8ナンバーの福祉車両は2年になるという点です(5ナンバーや3ナンバーの福祉車両は通常どおり初回車検は新車登録から3年)。そのほかの基本的な車検手順はほぼ普通車と同じと思って良いでしょう」
新車で福祉車両を購入したユーザーは初回車検が「2年」だということを覚えておこう。詳しい経緯は不明だが制度上、初回車検は2年と定められている。普通乗用車に比べて付加的な設備も多く、その点が考慮されていると考えられる。
さらに福祉車両は乗り換えるサイクルも長くなりがちだ。そこで気になるのが、いわゆる“13年問題”。新車登録から13年目を過ぎると重量税が高くなる(8ナンバー福祉車両の場合、自動車税は初年度から減免)といった制度だ。これも普通車と同じく福祉車両にも適用されるので、車歴が長くなっている場合は気に留めておきたい。
また、クルマの各種費用や税金に関する補助金や助成制度についても教えてもらったが、重量税や車検に掛かる費用は普通車と同様で車検に関する助成制度も設けられていない。福祉車両といえども車検においては普通車と同じ費用が掛かるようだ。
車検・整備の要注意ポイント
次に福祉車両の車検時の注意点につても聞いてみた。
「福祉車両はリフトなどの機器が搭載されているので、車検時にもメンテナンスや福祉機器関連のチェックが必須となります。例えば機器によって積載重量が増しているのでブレーキパッドが通常よりも減りやすいです。車検前にはしっかりチェックしておく必要があるでしょう」
ブレーキパッドの残量などは車検に関わる項目なので、一般的なクルマよりも重点的にチェックした方が良いだろう。
さらに福祉関連機器のチェックも欠かせない要件だという。
「リフトやスロープなどの機器は当社では車検に出す前に自社でチェックしています。例えばリフトであれば可動部分に小さな石が噛み込んでいることもあります。現状では大丈夫でもトラブルの元となるのでキレイに清掃しておくようにしています。出先でリフトが急に動かなくなったというケースも実際に起きているので、トラブルを防ぐためには日頃のメンテナンスは大切です」。
当然ながら車検項目には含まれていない項目でも、安心して運転するためには車検時にチェックしておくのが重要。トラブルを未然に防ぐという意味からも、福祉機器関連のメンテナンスは忘れずに実施しよう。
このあたりの福祉機器関連のメンテナンスに関しては福祉車両を購入したところでお願いするのが安心だ。車検は一般的なディーラーなどでも受けることができるのだが、すべてのメカニックが福祉車両の知識があるとは限らないからだ。
「福祉車両の知識のあるスタッフがいるところで車検をお願いするのが安心でしょう。福祉車両を購入したお店で車検をお願いすれば、先に紹介した例のような福祉車両特有メンテナンスポイントも知っていて、事前に点検整備しておいてくれるので安心でしょう」
このように福祉車両の車検は、基本的には普通車と同じ手順で行なえば良いことがわかった。ただし同時に行うメンテナンスという面では特有の項目があるので、福祉車両に詳しいメカニックがいる店舗やディーラーで車検時実施するのが得策のようだ。今回取材したユーイングなど、福祉車両を購入した店舗にお願いして、事前チェックを受けるというのが賢い車検の受け方と言えるだろう。
[取材協力]
ユーイング
神奈川県小田原市桑原627-1
TEL.0465-39-1313
http://youingnet.com/