オーナーだからこそ言える本音
夢にまで見たキャンピングカー! 憧れのキャンピングカー!! でも、ちょっと待った~ぁ。この世に「完璧」という二文字はなかなかありません。どんな絶世の美男/美女でも何も欠点がないなんて事がない様に、キャンピングカーにも「困ったちゃん」な事があるのです。キャンピングカー歴20年以上、6台のキャンピングカーを乗り継いできた私“キャンピングカー師匠”が、「キャンピングカーに乗って困ったこと5選」を、恥を忍んで赤裸々に語ってしまいましょう。
1)「サイズと重さ」によっては行かない覚悟も必要
パッと目でも、普通車よりは大きいのは明白です。標準的なキャブコンの様に幅2m×長さ5mに収まるキャンピングカーもありますが、こと高さに関しては3m位あったりします。そうすると注意しないといけないのが上方向。もともと人間は左右水平方向の視野は広いのですが、上下垂直方向の視野は狭い!
よく背の高い人が、頭をどこかにぶつけるのもこの為です。キャンピングカーもつい、普通車の様に乗ると、ルーフをぶつけてしまうなんて事があります。そして世間には意外と上方向の障害物が実は多いのです。
例えばパーキング料金ボックスの屋根、店舗の看板、木々の枝先、軒先だって危ない。そして高さ制限のあるところは要注意。自分のクルマの高さを常日頃から認識して、ここは危なさそう・・・・・・というところには行かない位の覚悟が必要です。街中の立体駐車場は、もう金輪際、縁がないと思いましょう。
またサイズだけでなく、重さにも注意しましょう。普通車感覚で走行して、側溝の蓋や水道の計量メーターの蓋をぶち割る時もあります。スポーツカーが軽快なボクサーだとすると、キャンピングカーは丸々太ったおデブちゃんだと認識しましょう。
2)「急」がつく動作は絶対にやってはいけない
サイズがデカいので、その分、操縦性にも気をつけましょう。言うなれば「家」を背負っているようなものなので、動きが鈍くなるのは当然と言えば当然ですが、特にキャンピングカーでやってはいけないのは「急」がつく運転。「急発進」「急ハンドル」「急停止」などです。
急ハンドルの代表的な例では、高速道路で大型トラックの追い越し時に風に煽られる事がありますが、そこでパニックしてハンドルを切ると、それが二次的な事故になる事もあります。引っ越し荷物を満載したトラックがコーナーを攻めるなんて事がありえないのと同じで、キャンピングカーに軽快な操縦性を期待するのが無理なのです。また重くて速度が遅くなり、登坂車線専用車になってしまう事もあります。
私自身、以前は横をびゅんびゅん追い越されると、それは悔しかったものですが、今は人間がデキてきたのか、へ~っちゃらになりました。あと、トラックがベース車という事もあり、操作系がいたってシンプル。たまに、最先端の普通車に乗ると、一杯スイッチがついていて、どこをどう触って良いのか分からなくなり、まるで、地球外の宇宙船に乗っている感じになる時があります。これもキャンピングカーに長く乗っていると味わう悲しくも切ない「クルマ浦島」感覚です。
3)良くも悪くも目立つ
キャンピングカーは良くも悪くも目立ちます。キャンピングカーに乗っていると悪い事は出来ません。直ぐに見つかってしまいます。これは街中だけのお話ではありません。ご近所さんでも目立つ対象となり、キャンピングカーで出かけるだけで「今週もお出かけ? キャンプ?」とか言われてしまいます。
最悪は「お土産期待しているわよ」なんて、要らぬストレスを背負う事もあります。酷い時には、キャンピングカーの掃除とかしていると、近所の奥様たちが数人出てきて、「ちょっと、中見せて頂いてもいいかしらん?」なんて事になると、街角キャンピングカーショーが始まってしまいます。綺麗な人妻と二人っきりならまだしも、年代物の有閑マダム数人と車内に籠るのは、これまた恐ろしい。
また昨今のコロナ禍では、新型コロナウイルスの感染対策やリモートワークといった観点からも、キャンピングカーは使えるというポジティブな声がある一方で、キャンピングカーは「遊び車」だからと思われて、他者からの視線をより一層、感じたり、肩身の狭い気持ちになったとかの話もあります。目立つ事も善し悪しですね。
4)断捨離しないと大変な事に
キャンピングカーは走る家、お父さんにとっては、プライベートな書斎にもなります。従ってどうしても、あんなものやこんなものからそんなものまで、いろいろと積み込む事になり、気が付くと、あっと言う間にキャンピングカーはメタボ状態に!
確かに必要なものを全部、積んであると便利です。私もたまに電車で出張して、忘れ物をする度に「キャンピングカーだった必要なものは全部あるのに」とか思う時があります。でもその反面、メタボの健康被害と同じ様な障害が・・・・・・。
例えば、前述にもある重量。ただでも重い車両に、更に荷物を積み込む訳ですから、車体、特にタイヤにかかる負担は想像以上のものになります。最悪はバーストによる横転事故になる恐れも。ここは、思い切って断捨離してダイエット。それが無理でも、せめてシーズンで使う物を厳選して積み替える位の事が必要になります。それから積み過ぎると、こんなミステリーも。積んだはずの物が失踪する事がたまにあります。
文字通り家探しても見つからない。あるあるですが、忘れた頃に他のものを探していて、見つける事がありますが、その時には、数十年ぶりに級友に出会ったような、何とも言えない嬉しさと感動と、あの時、あんなに探したのに・・・・・・という拍子抜けしたなんとも言えない気分になります。
5)バッドマナー問題
キャンピングカーに乗っていると、時に、鼻が数センチ高くなる時があります。「あっ、見て! キャンピングカーだわ!」なんて、一般市民の方が話していると、羨望の視線も感じて、思わず、うほほ~い!気分になり、用もないのに、そこら辺を何周も走りたくなります。
それだけ自慢に思えるキャンピングカーですが、最近は普及してくると、その光と影ではありませんが、脚光を浴びる分、影の部分も濃くなります。その代表的なものが「バッドマナー」キャンピングカーは走る家ですが、夜はどこかに停まらない(泊まらない)といけません。
ちゃんとした車中泊施設を利用するなら問題はありませんが、本来ならば、基本的には仮眠休息の場である道の駅で、バッチリ車中泊、酷い時には、してはいけないキャンプ行為などする輩も出てくると、一挙にキャンピングカーは「悪者」となってしまいます。
人気タレントが、大麻所有かなんかで一挙に悪のレッテルを貼られてしまうのと同じです。私も日本全国、クルマ旅していて、以前は利用できた場所で「キャンピングカーお断り!」の立て札を見る度に、胸が痛みます。そう、キャンピングカーに乗っているからこそ、味わう「辛さ・切なさ・悔しさ」なんです。
如何ですか? 憧れのキャンピングカーにも、こんな困ったことがあるのです。しかし、そんな事があったとしても、それを補っても尚、余りあるメリットがキャンピングカーにあるのです。だから、長年、キャンピングカーを乗り継いでいる訳です。
「キャンピングカーに乗らずに死ねるか!」「生まれ変わってもキャンピングカー」今は、そんな気持ちなのです。