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軍用機メーカーが作り上げた技術の塊! 消滅した「サーブ」のオシャレさが衝撃的

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TEXT: 原田 了(HARADA Ryo)  PHOTO: 原田了

民生用の“9”を共通項とする名車の数々

 92シリーズの後継モデルとして1968年にはSAAB 99が登場しています。SAAB独特の雰囲気を漂わせていましたが、92シリーズに比べると随分コンサバなデザインになっていました。そして少し大型化されたことと4ドアセダンがラインナップされていたことで、対米輸出が大きく躍進し、自動車メーカーとしてのサーブのポジションを確立させることになりました。サーブ99

 技術的には92シリーズに搭載されていた2ストローク3気筒やフォード製のV4では、ますます厳しくなる排気ガス規制への対応が難しくなるという判断から、トライアンフ製の直4ユニットを搭載していましたが、72年からは自社で開発した直4エンジンにコンバートしてゆきます。

 さらに量販FFとしては初となるターボチャージャーを搭載するなど、先進技術の採用には積極的な姿勢を見せていました。サスペンションも92シリーズのそれを発展させたもので、フロントがダブルウィッシュボーン、リアがリジッドアクスルをコイルスプリングで吊る基本デザインを踏襲。リアにはパナールロッドが追加されていました。

 78年にはSAAB 900が登場しています。これもSAAB流に解釈すれば第二世代として登場したSAAB 99のフルモデルチェンジではなく安全性、特に北米で要求される対衝突安全のレギュレーションをクリアするための変更でした。

 具体的には、ボディ(特にフロントのオーバーハング)を延長して対処していました。エンジンには2ℓ直4ツインカムが設定されましたが、サスペンションはSAAB 99のものが継承されていました。SAAB 900は93年に新型の900に移行し、従来モデルをClassis 900、新型をNew 900と呼び分けるようになりました。

 ただこのNew 900からは、エクステリアデザインこそSAABらしさを残していましたが、メカニズム的にはGM傘下としてドイツのオペルとプラットフォームを共有するなど、オリジナリティは薄れてしまいました。

 その後84年には、フィアット(系列のアルファ・ロメオとランチアも含めて)との共同開発によるフラッグシップセダンのSAAB 9000が登場。さらに900の後継モデルが9-3に、また9000の後継が9-5に名を変えて生産されています。ネーミングに苦心の跡がうかがえますが、いずれも“9”を共通項とする名車の数々でした。

 個人的には、北欧の地に2つの個性的なクルマ・ブランドが発生して成長したことに興味があり、スウェーデンへの博物館探訪の旅を計画していましたが、コロナ禍のあおりを受けて果たせていません。それでもオランダで博物館巡りをした際に、小さいけれどサーブに特化した博物館を何件か取材しており、彼の地での人気の高さを窺い知ることができました。今回の写真の多くは、オランダの博物館で撮影したものですが、コロナ禍が終息したなら来年の夏には是非、スウェーデンを旅してみたいと思いを募らせている今日この頃です。

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  • 原田 了(HARADA Ryo)
  • 原田 了(HARADA Ryo)
  • ライター。現在の愛車は、SUBARU R1、Honda GB250 クラブマン、Honda Lead 125。クルマに関わる、ありとあらゆることの探訪が趣味。1955年、岡山県倉敷市生まれ。モータースポーツ専門誌の地方通信員として高校時代にレース取材を開始。大学卒業後、就職して同誌の編集部に配属。10年間のサラリーマン生活を経て90年4月からフリーランスに。モータースポーツ関連の執筆に加え、オートキャンプからヒストリックカーイベントまで幅広く取材。現在ではAMWに、主にヒストリー関連コラムを執筆。またライフワークとなった世界中の自動車博物館歴訪を続け、様々な媒体に紹介記事を寄稿している。
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