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背中の「オシャレ化」の難しさ! ジムニーオーナーを悩ませる5本目のタイヤ交換とは

「交換すればいい」だけに留まらないジムニーのスペアタイヤ事情

 現行のJB64Wジムニーが登場したのが2018年の7月。既に2年余の月日が経っているが、納車までに要する期間はおよそ1年(指定したグレードやカラー、そして“運”によって前後はする)と、相変わらずの人気ぶり。さらに他のクルマに比べてカスタマイズをする層が幅広く、特にオフロードタイヤへの交換は、これまでその世界と縁もゆかりもなかった人にも人気のメニューとなっている。

 そのタイヤ交換、通常のクルマだとその数は4本になるが、ジムニーのスペアタイヤはリアゲートの外側に付いているため、ここも含め交換する人が多い。実際、「ジムニー用のタイヤ(タイヤ&ホイール)です」と謳って販売している通販サイトなどには、4本セットだけでなく5本セットも用意されている。

 その際「どうせ交換するなら少し見栄えがいい物を」と言うことで、ノーマルのそれよりも(もちろん車検に通る範囲で)トレッド幅や外径を広く(大きく)したりする人がほとんど。ただ、ここで問題が出てくる。今回のテーマでもあるスペアタイヤへの取り付け方法だ。そこで今回、その具体的な問題の中身と対処法を、広島県にあるシャコタンからジムニーなどの4WDまで強いプロショップ「Sスタイル」に聞いてみた。

ひと筋縄ではいかないジムニーのスペアタイヤ取り付け

 ここでノーマルのスペアタイヤがどうなっているのか、改めて見ていく。タイヤは「ブラケット」と呼ばれる固定具を使って留まっている。 このブラケットのボルトにホイールの表側がリアゲート側になる向きで穴を通し、専用ステーを使いナット3本で固定、ホイールの外側(内リム側)にカバーを付けてボルト締めされている。 固定のための工具はリアラゲッジのフロア下に入っている、タイヤ交換用の19ミリレンチを使えばOKだ。

 普通に考えれば「スペアタイヤを外して新しいタイヤホイールを同じ様に付けたら良いんじゃないの?」と思うだろう。確かにタイヤだけを交換する方法なら大丈夫。「それでも極端にタイヤ幅が広がると干渉リスクはあるので、ジムニー用と言われている(トレッド幅が)185ミリ、要確認にはなりますが、いっても195ミリあたりが限界な気がします」(Sスタイルの菅原社長談)。

 ただ、わざわざ社外品のタイヤ、しかもそれが最近流行のホワイトレタータイヤだったり(ジムニー用のホワイトレタータイヤは外側のみ白文字)、さらには一緒にホイールも交換したら、それは見せたい(タイヤ&ホイールの表側を外側にしたい)と思う人がほとんど。ここでいよいよ問題が発生。ホイールを固定するための3本のボルトにホイールの穴が入らなくなる(固定ができなくなる)のだ。

 本当にタイヤが付かないか、実車で検証してみた。使ったのはTOYO TIRESの「オープンカントリーR/T」の185/85-16in。ノーマルのスペアイヤとは逆向きに(ディスクを表向きにして)付けようとすると……確かにタイヤがゲートに当たり、ホイールを固定するためのボルトにホイール穴が入らなかった。ボルトの穴に通る前にタイヤがゲートに干渉してしまった。

やり方は色々あるものの浮かび上がる「車検問題」

 とはいえ、実際社外タイヤを装着している人も多く見られる。ではどうやっているのか。恐らく多くの人が採用しているオーソドックスなやり方が、タイヤブラケットをシエラ用に変える方法だろう。2つのブラケットの形を並べて比較するとよくわかるが、固定するゲートからホイール用ボルト部分部分までの距離(奥行き)が全く違う。つまりは太いタイヤがゲートに干渉しないで固定できるワケだ。

 実際に先ほどは付かなかった185サイズはもちろんのこと、さらに太い225サイズを試しに当てても難なく付いた。ボディとの隙間も確保ブラケットを交換するだけと、工数的にもシンプルなのが魅力だし、そのブラケット自体も5400円(編集部調べ)と比較的お手頃。

 ただ問題が車検になると引っかかるという点。その一番の理由が、交換することで軽自動車の規格サイズを越えてしまうためだ。ジムニー純正のブラケットは、ホイールカバー固定用ステーがないとボルトがバネの力で畳まれて、バンパーよりも内側に収まる(軽自動車規格内に収まる)仕組み。いっぽうのシエラ用は、付けた部分がバンパーよりも出てしまっている。

 実はこの部分、非常に曖昧でグレーなのが現状だという。「全国色々な同業の方に聞いても、車検場で“タイヤは外してから持ってきてくれ”と言われたり、タイヤを付けたままでも何も言われずラインを通過したり。継続はいいけど新規になるとダメだったりもするようです。地域によって見解が違ったり、もっと困った事に、同じ地域でも検査する人によって別れたりもする。なので結局、検査の時はタイヤを外し、一緒にステーも外すのが現状だと無難、としか言いようがないんです」。

代表的なスペアタイヤ取り付け「3つの方法」

 この「グレー問題」はひとまず棚上げにして、改めて取り付け方法について見ていく。まず先述したシエラ用純正ブラケット。確かに価格的にも取り付け難易度的にも魅力なのだが、意外な問題もあるという。それが入手方法だ。いわゆる自動車整備屋さんやディーラーであれば難なく単体で取り寄せられるが、一般の人はそう簡単にはいかない。それでも色々な方法が考えられるが、とにかく一般人にとっては少なからずハードルになるだろう。

 次に社外品に交換する方法が思い浮かぶ。一般ユーザーにとっての入手難易度なら最も手軽だし、実際に各メーカーから色々な形状のアイテムが出ているが、基本的には固定部分を外側に出してゲートまでの奥行きを稼ぐ、という理論は同じ。ちなみに写真はシルクロードの「フェイスアップキット」というもの。

 最後にカスタマイズ系ユーザーにとってはある意味最も親しみやすい(?)方法、ワイドトレッドスペーサーの活用だ。確かにこれも同じ理論であるが、スペーサー単体だと純正ブラケットに対してグラ付きが出てしまうのが問題。 それを解消するために用意するのがブレーキローターだ。ローターがあるとブラケットにしっかりと密着するし、スリットタイプにすれば見た目もいいかも知れない。 どちらも大概2個1セットで売っているので、例えば同じような方法でスペアタイヤを付けたいジムニー仲間がいれば“割り勘”をすれば出費も抑えられる。編集部がネット価格を調べたところ、2つで約8000円だった。前述の通り左右セット(つまり2個付いている)なので、割り勘なら1人4000円で買える計算だ。

 その際に注意すべきポイント。ワイトレ・ローターいずれもジムニー用(5Hー139.7)を揃えることだ。「軽自動車用でいいんでしょ?」と、最近の軽自動車に多い4H-100サイズを買っても付かない。言われてみれば当たり前だが、意外と盲点だったりもする。

盲点だけどズシリとくる「重量問題」もあった

 スペアタイヤを社外タイヤホイール&タイヤに交換して固定する方法はこの3通りがほとんど。そして例の「グレー問題」以外に意識すべきが重量の問題だ。特に最後に紹介した“ワイトレ&ローター”導入術はホイールセッティング同様、太くなったら同様にスペーサー幅を増やせば、理論上はどんなサイズでも付けられるが、3つの方法のうち、一番重くなるのがデメリット。

 さらにタイヤサイズを225あたりにすると、純正のタイヤから比べるとタイヤだけでも重くなる。「あまりに重いとゲートのヒンジに負担が掛かりすぎて、嫌な音が出たりします。自分の先輩がシエラに225/75サイズのタイヤをスペアとして付けたら、やっぱり嫌な音がしたそうです」(前出の菅原さん)。

 昔からのジムニーユーザーで競技に参加している人は、これら(特に重量)を嫌って“レス”にする人もいる。同様に現行のジムニーからその数を伸ばした、オシャレ系ユーザーもあえての“レス”は多い。“レス”なら今回紹介したモヤモヤする「グレー問題」からは解き放たれるが、いざという時にスペアタイヤがない、という新たな問題も挙がってくる。

【取材協力】
Sスタイル
広島県広島市西区中広町3丁目19-26
tel.082-548-9602
http://odkstyle999.jp
営業時間:10:00〜19:00
定休日:イベント参加日

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