SUVらしからぬ走りを実現したモデル
未だ衰えることを知らないSUV人気。確かにハッチバックの使い勝手のよさはそのままに、高いアイポイントからにより得られる見晴らしの良さや、生活感を適度に抑えつつTPO問わず使える見た目など、人気になるのも頷けるポイントが多数ある。
そんな死角なしに思えるSUVにも弱点はある。それが、高い重心によって一般的な車両に比べて少なからず運動性能が劣ってしまうという点だ。そもそもSUVに高い運動性能を求めている人は少数派かもしれないが、家庭の事情などによってスポーティモデルからSUVに乗り換えたユーザーなどは、やや物足りなさを感じることもあるだろう。
そこで今回は、SUVにも関わらずハンドリングも楽しめてしまうなんとも欲張りなワークスが手掛けたSUVをピックアップしてみたい。
1)日産 ジュークNISMO
2010年にデビューし、その個性的なエクステリアが話題を呼んだ日産ジューク。そんなジュークに2013年に追加設定されたのが「NISMO」である。1.6リッターターボエンジンを搭載する16GT FOUR系をベースとし、専用のエアロパーツをまとった迫力のエクステリアは一目でそれと分かるもの。
もちろん見た目だけでなく、専用チューニングが施された足まわりに加え、エンジンも専用のチューニングが施された。さらに通常は6速のMTモード付だったCVTミッションをクロスレシオ化された7速CVTへ変更するなど、ワークスの名に恥じない改良が加えられていたのだ。
2014年にはさらにチューニングの度合いがアップした「NISMO RS」も登場し、クロスオーバーSUVというよりはむしろホットハッチと呼んだ方がしっくり来るジュークNISMO系は、販売が終了した現在でもコアなファンの多い車種となっている。
2)スバル フォレスター tS
常時全輪駆動でおなじみのスバルはSUVとの親和性の高いメーカーと言える。クロスオーバーSUVの王道であるXVや、レガシィアウトバックなど、さまざまなSUVモデルが存在しているが、やはりスバルのSUVモデルと言えばフォレスターが知られるところだろう。
残念ながら現行モデルにはワークスが手掛けたモデルは今のところ存在していないが、先代型となる4代目モデルには「tS」と呼ばれるSTIが手掛けたモデルが存在していた。
エンジンこそベース車と同じスペックの2.5リッターターボのままだが、STI独自の味付けがなされたサスペンションをはじめ、「フレキシブルタワーバーフロント」と「フレキシブルサポートリヤ」、さらに当時、新開発となる「フレキシブルドロースティフナーリヤ」といった補強パーツを組み込み、SUVらしからぬ強靭でしなやかな走りを実現したモデルに仕上がっていたのだ。