モータースポーツでの活躍
高回転域までよく回る4A-G型エンジンを搭載したAE86レビン/トレノは、軽量・高剛性な車体との組み合わせで期待どおりの高い戦闘力を発揮。全日本ラリーで好成績を残したが、残念ながらすでにラリー界での主導権はインタークーラーを装着して160psにパワーアップされたランサーターボが握り、ハチロクは善戦するもいま一息およばなかった。
しかし、1.8リッターのターボエンジンを相手に1.6リッターの自然吸気エンジンで見せた互角の走りは、結果的にハチロクのポテンシャルがいかに高かったかを証明するかたちとなっていた。
一方、長らく新型車(現行車)によるツーリングカーレースが途絶えていた国内サーキットレースに、1985年からグループA規定による「全日本ツーリングカー選手権(JTC)」が発足。1600ccを上限とする最小排気量クラスの「クラス1」は、1.6リッター・4バルブDOHCを持つハチロクはとって絶好のカテゴリーで、すでに1984年のヨーロッパツーリングカー選手権(ETC)に投入され実績を残していた。
JTC戦には多くのトヨタ系ユーザーがハチロクで参戦し、記念すべき開幕戦では、クラス上のBMW635やスカイラインRSターボを相手に総合1位でチェッカーを受ける快挙を演じていた。ただ、JTCでの活動は長く続かず、翌1986年からトヨタ勢の主力はFFのカローラFX(AE82)に移行していった。
後年コミック誌のドリフト走行で一躍人気度を上げたハチロクだが、デビュー時には、モータースポーツ界、特にトヨタ系ユーザーの間で待ち焦がれた存在だった。