プロに教わる「R32GT-R」に長く乗ための「秘訣」とは
性能面ではR34型のスカイラインGT-Rのほうが断然いい。それでも自分が乗り続けた歴史や思い出が詰まっているこのR32のほうが楽しい。持ち続けたいではなく、乗り続けたいのだと向井代表は話す。
「長く乗るために重要なのは日頃のメンテナンスです。オイルや水の量や色を乗る前に必ずチェックします。乗ったときにちょっとエンジンが重いとか音が大きいと感じたらオイル交換しますね。このR32では買い物に行ったり、ドライブに出掛けたりするのですが、忙しくてしばらく動かさないと乗り始めは重いんです。でも10~20km走れば軽さが復活。足まわりの動きも最初は渋くてもしばらく走れば気持ちよくなります。距離数というよりも、普段からちゃんと使っているほうがフィーリングはいいんです。寝たきりだった人間がいきなり走るのは無理です。毎朝散歩していたほうが身体は動く。クルマも人間と一緒ですよ」。
また、主治医となるショップを決めておくのも重要だと話す。
「オイル交換したときに各部をチェックする。いつも通っているショップなら早い段階で異変に気付くでしょう。定期点検することが一番大事なことだと思っています。性能面さえきっちりしていれば完璧を維持しなくてもいい。走らせながら次はあれをやろう、いずれはこういう仕様にしたいと考えるのが長く付き合うコツです。また、乗っていていつもとフィーリングが違うとか、自分でも観察しましょう。そのためにもこまめに走らせるのが重要だと思いますよ。バッテリー上がり対策でたまにアイドリングだけさせるという人がいますが、コレは調子が悪くなる要因にもなりますので注意してほしいですね」と向井代表。エンジンをかけたら最低でも10~20kmは走行させてほしいとアドバイスをもらった。
多忙な毎日でなかなか動かせないけれど、ちょっと動かすだけでいろいろなことがわかって楽しい。乗ってこそのGT-Rだと向井代表は感じている。どんなにピカピカでも博物館に展示された車両を見てもおもしろくない。街で走っているユーザーカーに出会ったほうがワクワクする。このR32のおかげでロアブレースバーだったりリフレッシュバーだったり、最近ではカーボンプロペラシャフトを生み出すことができた。普段乗っていて困ったことを形にする。デモカーのように速くするためだけではない、いろいろなアイディアを与えてくれる相棒。
「もし死んだらこのR32に乗せてどこかの穴に埋めてくれ、と言っているんです。どんなにヤレていようがわたしにとっては最高の1台なんですよ」と向井代表は語ってくれた。
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