「Rider」から「AUTECH」へ
かつて大人気だったライダーに変化が起きたのは2017年。オーテックジャパンではこの年、プレミアムスポーティをコンセプトとし、社名と同じ名前の新ブランド「AUTECH(オーテック)」を設立する。翌2018年には、その第1弾として「セレナAUTECH」を発売すると同時に、セレナライダーを生産終了とした。
また、その後も「デイズ・ライダー」、「デイズ・ルークスライダー」、「キューブ・ライダー」、「エルグランド・ライダー」などが次々と生産中止に。
一方でエルグランドやエクストレイル、新型のルークスなどは、セレナに続き新しくAUTECHを設定(ほかにノートやリーフもある)。前述のとおり、現在ライダーはNV350キャラバンのみの設定となっている。
ライダーはAUTECHに入れ替わってしまうのだろうか。この点をオーテックは「AUTECHブランドとして訴求できる車種についてはAUTECHブランドに統合していくというのが、大きな方向性になっています」という。その背景には、近年メーカー直系のサブブランドが増加していることが挙げられる。
オーテックジャパンは、1990年代からイチ早くディーラーで購入でき、保証も受けられる日産車のカスタムカーを手掛けてきた企業だが、最近では他メーカーでも同様のカスタムモデルが増え、多様化してきている。そこで、それらと差別化し、より魅力的な商品を提供するために、同社ではあえて人気があるライダーの設定車種を減らし、新しいAUTECHブランドへより注力する方針にしたのだ。
ただし、NV350キャラバンに関しては「ライダーとしてカスタムするほうが“似合っている”、“お客様の期待に沿っている”という車種」ということで、ライダーを継続。2020年9月には、ベースモデルの一部変更に合わせ、「キャラバン・ライダー」もエンジンの環境性能を向上させる改良が施されている。
「ライダー」が復活する時は来る?
強面(こわもて)なオラオラ顔が一斉を風靡したライダー。今のクルマの多くが大型で特徴的なフロントグリルを採用するが、その先駆けともいえるモデルといえるだろう。では、なぜ設定車種が激減したか。これはあくまで私見だが、今のクルマにライダーのグリルはやや強烈すぎるのかもしれない。前述のブランド戦略も理由のひとつだろうが、デザイン自体が時代に合わなくなってきていることも、設定車種数に現れているのではないだろうか。
もしそうだとしても、かつて人気だったデザインが、数年の時を経て再び人気となることは、クルマだけでなくファッションの世界などでもよくある。再びライダーの過激ともいえるイカつさがマッチする時代が訪れ、復活することに期待したい。