外装にはエアロパーツが一般的
外装は、前述の通り、エアロパーツを装着することが人気だ。前後バンパーを変更したり、スポーティにする場合はリヤトランクやルーフ後端にウイングを付けることも多い。
また、フェンダーを加工してワイドにしたり、オーバーフェンダーに交換する手法もある。
ほかにも、塗装を好みの色に変更したり、ラッピングといってシートを貼るケースもある。特に、ラッピングはカーボン柄やラメ色など、塗装では手間がかかる特別なカラーも貼るだけでできる。また、飽きたら剥がして元に戻せるなどの理由で、最近人気が高い手法のひとつだ。
ただし、ラッピングのシートは、接着材でボディに貼り付けるため、注意点もある。長い年月貼ったままだったり、野外の駐車場に駐めて紫外線の影響を受けてしまうと、接着材が劣化してしまうことがあるのだ。そうなると、シートが剥がれにくくなったり、最悪の場合は地の塗装まで剥がれてしまうケースもある。
小物からシートまで内装パーツも豊富
内装のドレスアップも、多様なパーツやカスタムが存在する。LEDを使ったイルミネーション系の小物から、ハンドルやメーター、シフトノブなど、内装は運転する際に目に付く箇所が多いため、ドレスアップ用パーツも豊富だ。
シートの変更も人気カスタムのひとつ。体をホールドしやすいバケットタイプに変えたり、純正のモケット地をレザーに張り替えて高級感を出すなど、好みのスタイルに応じた手法やパーツがある。
特に、最近はシートカバーでも質感が高いものが多く、シートの上から被せるだけでグッとイメージが変わったり、上質感をアップさせる商品も多い。そのため、手軽で効果が高いカスタムとして、多くのユーザーから支持を得ている。
ほかにも、車載できる空気清浄機や、スマホ用のホルダーやSUBソケットなどにも、おしゃれな製品が増えてきている。これらも、実用性を向上させると共に、気軽なドレスアップが楽しめるアイテムだといえるだろう。
スタイルも多種多様だ
ドレスアップには、スタイルも数多い。例えば、スポーツ志向なら前述のチューニング系で使用されるパーツ、もしくはそれをイメージしたパーツを付けることで、愛車をよりスポーティなフォルムに変更する手法が多い。
ベース車は、トヨタの86やスバル・BRZ、マツダのロードスターからスズキのスイフトスポーツなど、主に走りが楽しめるクルマが主流だ。
1990年代から2000年前半に一斉を風靡し、今でも多くの支持を受けているのが「VIPカー」と呼ばれるジャンルだ。日産のシーマやトヨタのセルシオ、クラウンといった高級セダンをベースに、エアロやホイールの変更、車高を落とすスタイルが定番。また、内装には、“ふさ”と呼ばれる、お守りのような形状の組紐をフロントウインドウ内側などにぶら下げるドレスアップも人気だった。
当時のVIPカーは、そのあまりの人気ぶりに、セダンだけでなく、ミニバンや軽自動車など、多くの車種に波及したほどだ。
「USDM」というスタイルは、かなりマニアックだが、基本的には国産車のパーツを、北米仕様に改造する手法。ホンダ・シビックのEK型(1995年発売)など、古いモデルなどをベースとすることが多く、前後バンパーやヘッドライト、テールランプ、フェンダーマーカーなどを北米仕様に変えることが一般的だ。
アメリカのヒスパニック系や黒人が行っていたカスタム手法が元祖である、「ローライダー」というスタイルもかつて大きな人気を博した。ベース車は、基本的には1970年代頃のアメ車が主流だが、中には(北米で販売されていた)国産車でカスタムするクルマも存在した。
主なカスタムは、ボディカラーをラメ入りやキャンディ系の色に変更したり、ピンストライプを入れたりすること。また、油圧で車高を上下させるハイドロリクスを装備し、ローダウンした状態から一気に前輪の車高だけを上げて車体を跳ねさせる、「ホッピング」という技も人気だった。
アメリカから輸入されたカスタムには、ほかにも「ホットロッド」や「キャルルック」といった手法もある。ホットロッドは、元々ドラッグレースなどに出場するレース用マシンをイメージしたもの。エンジンチューニングなどを行うほか、フレイムスという炎のような塗装をするクルマも多い。
また、キャルルックは、1960年代~1970年代にアメリカ西海岸で人気だったカスタム。フォルクスワーゲンのタイプ1(ビートル)などをベースに、車高をローダウンしてボディをパステル系の派手なカラーにペイント。また、サイドウォールに白いラインが入ったホワイトリボンタイヤなども人気アイテムだ。
ほかにも、例えばミニバンなどの荷室に、大型のスピーカーを積んでリアゲートを開いて大音響を流す「音圧系」など、カスタムスタイルには、まだまだ多くの種類がある。
最近では、それらが複数融合したスタイルも存在するため、一概にこのクルマがのこのスタイルだとは言い切れない車両もあるほど、バリエーションは豊富になっている。