初心者がやりがちな冬キャンプの失敗あるある
夏キャンプで経験を積んで自信をつけていても、冬のキャンプでは思わぬ事態で大慌て、なんてことがあるものだ。冬キャンプの“困った”はダントツで寒さが原因でおきること。クリスマスキャンプや年越しキャンプを予定しているなら、冬キャンプのよくある失敗例を頭に入れ、対策を練っておこう。
1)カセットガスやライターが使えない
バーナーもランタンも、ガソリンではなくガス缶を使うものが主流になった。ガス缶には通常の「夏キャンプ向き」と低温でも問題なくバーナーを使える「寒冷地用」があり、ガス缶の表面には大きく「REGULAR」「NORMAL」(以上が夏向き)、寒冷地用には「SUPER」「POWER」などと記載されている。
メーカーによっては文字の色やキャップの色を変えていて、落ち着いて手に取れば簡単に判別できるのだが、慌ててキャンプの準備をするとうっかり夏キャンプで使った残りの燃料を持って行ってしまうこととがあったりする……。
冬でもぽかぽか陽気の昼間であれば夏用のガス缶でもなんとかなることもあるが、気温が10℃を切ればお手上げだ。キャンプ場売店や近くの店で冬用燃料を手に入れるほかない。
また燃料間違いだけではなく、バーナーの自動着火に頼っている人も注意が必要だ。気温が5℃を切るような低温下では、点火装置の火花が出にくくなり、せっかく寒冷地用ガスを用意しても着火できなくなる。ライター類も火花が出にくくなるので、冬キャンプではマッチを忘れずに持っていこう。
2)水や野菜、靴も凍る
雪中キャンプのように長い時間、氷点下になる環境では水気のあるものは一晩で凍り付いてしまう。「明朝のスープ用に」と、ペラペラの折りたたみ式ジャグやペットボトルに残しておいた水が凍ってしまい、結局、朝一番に水くみに行く羽目に。せめて満水にしておけば、朝一番のコーヒーやスープくらいは作れるのだが、一度はやってしまう冬キャンプの失敗だろう。
また水だけではなく、レタスやほうれん草といった野菜もうっかり放置しておくと凍ってべちゃべちゃになる。食べられなくはないが、食感が悪くなるので新聞紙に包んでから段ボール箱に入れるかクーラーボックスに保管したい。
飲み物や食べ物だけでなく凍てつく靴も困りものだ。寒い日でも足の裏は汗をかいていて、靴を脱ぐとわずかにしっとりしていることに気づくだろう。そのままテントの前室に放置しておくと、朝は靴に足をいれるのをためらうほど冷えている。
朝一番だけでも電気毛布に包んだり電熱インソールや布団乾燥機を使ったりしてあたためられれば良いが、そういったものがないならテント内で保管して、履く前に取り外したインソールを寝袋の中で温めておくと幾分まし。
3)暖まりたいのに焚き火ができない
気温の低い冬キャンプでは、焚き火や薪ストーブで温まりたいのに立ち消えするばかりで薪に火がつかない、なんてことがある。
着火剤などによって薪が熱せられ、分解することで薪に含まれている可燃性ガスが放出される。このガスに引火してはじめて薪の燃焼がはじまるのだが、それには250℃以上の熱が必要だ。気温の高い夏なら着火剤ひとつで十分でも、冬は燃焼に必要な熱をなかなか蓄えられないのが立ち消えする原因。
そこで焚き火台の底に薪を敷いて少しでも放熱を押さえよう。煙突状の火起こし器を使うのもひとつの手段だ。
4)雪や凍った地面でペグが効かない
深く積もった雪は、いつものようにペグを突き刺しても抜けるばかり。反対に雪がなくても、ガチガチに地面が凍っていてテントの付属ペグが入っていかないことが間々ある。手軽に使えると人気のワンポールテントやシェルターなど、非自立型のテントやタープの設営に手こずるのが冬キャンプだ。
雪上での設営ではペグを十字に組んで雪に埋める、レジ袋に雪を詰めて張り綱を結びつけるなどが定石だが、より強固にしようと雪に水をかけて凍らせると撤収時が大変になるのでほどほどに。
雪のない凍った地面では重厚感のあるペグが有効だが、持っていない場合は石や薪など重いものをフル活用するしかない。
5)つま先が冷える・眠れない
防寒ブーツを履いていても、日が暮れるとつま先がジンジン冷える。焚き火に当たろうが手でさすろうが、一度つま先の冷えを感じるともう収まらない。
氷上ワカサギ釣りでは小さな簀子(すのこ)を持って行き、そこに足を乗せて氷からの冷えを防ぐという。キャンプでも同じように薪や簀子に足を乗せておけば、ずいぶん落ち着いて過ごせるようになる。
寝るときも、寝袋の中に薄手のブランケットや湯たんぽを突っ込むことでつま先の冷えが和らぎ、眠りにつきやすい。電源を使えるなら布団乾燥機で眠る前に寝袋を温めておいても良い。雪に濡れた靴の乾燥・温めにも使えるので一度使うとやめられない。
6)バッテリーの消耗に要注意
寒い時期は電気の消耗が早くなる。うっかりスマホをテーブルに出しっぱなしにすれば、アッという間にバッテリーが減り、強制的にスマホのない生活がはじまってしまう。
もっともオートキャンプであれば、いざというときはクルマで充電することができるので、そこまで深刻にならなくても良いだろう。
問題はポータブル電源を中心に考えたキャンプ計画だ。家族分のスマホやタブレット、ビデオカメラ、ゲーム機、LEDランタンなどの充電を1台でまかなえるし、夏は扇風機、冬は電気毛布を使える。そのためキャンプだけでなく防災アイテムとしても人気が高い。
冬用寝袋がなくても夏用寝袋+電気毛布で過ごそうと考えるキャンパーがいるが、ポータブル電源もスマホと同じで気温が低いと減りが早い。容量によるが、カタログ値では2泊持つ計算でも1泊目の明け方に電池切れになっていることも珍しいことではない。
ポータブル電源を過信せず、念のため寝袋の保温性アップに役立ちそうなものも用意しておかないと大変な目に遭う。
また、ポータブル電源にもブランケット1枚かけておくなど少しでも冷えを防ぐ工夫をお忘れなく。一方でポータブル電源は高温にも弱い。保温性を高めようとストーブの前に置きっぱなしにすることは避けよう。
7)一酸化炭素中毒による死の危険
今では当たり前のように見かけるテント内へ薪ストーブをインストールするスタイル。「換気しやすいストーブ対応の大型テントを用いる」、「煙突部分に断熱処理をする」、「テント内に一酸化炭素チェッカーを置いて換気をこまめに行なう」など相応の準備をすることで成立するキャンプスタイルであり、見よう見まねでストーブを使うと火災や火傷、一酸化炭素中毒など取り返しの付かない事故が起きてしまう危険性がある。
ストーブを使わなくても、シェルター内での炭火BBQ、ガスやガソリンのランタンをつけているだけでも同様の危険があり、毎年のように事故が起きている。テント内で火を使うことのリスクを知り、自信がなければAC電源を使うかコテージを利用しよう。