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BMWのチューニングメーカーじゃなく独立した自動車メーカー! 日本カー・オブ・ザ・イヤー部門賞も受賞した「アルピナ」とは

「パフォーマンス・カー・オブ・ザ・イヤー」受賞

 蓋を開けてみればスバル・レヴォーグの圧勝だった2020-2021日本カー・オブ・ザ・イヤー(以下COTY)。従来のCOTYは、部門賞も含めて年間に販売される台数が規程されていました。しかし今年度からはその規程が外され、少量販売車でもエントリーが可能となりました。そうしたなか、はじめてのエントリーで部門賞初受賞という快挙を成し遂げたのが「BMWアルピナB3」でした。

BMW社の保証が付く独立したメーカー車両

 アルピナのロゴマークには、ウェーバーのツインチョークキャブレターとクランクシャフトがデザインされていて、そのルーツを語っています。このため、BMWのハイパフォーマンス部門であるとか、BMWを使ったチューニングカーであるとか思っている方が多いのですが、それはちょっと違います。

 もともとはチューニングメーカーでしたが、現在のアルピナはドイツの自動車メーカーとして登録されている企業です。アルピナ車はBMWから車両提供を受けて、自社ブランドのクルマとして完成させています。このためアルピナはBMWの車台番号を消去し、自社の車台番号を打刻しています。面白いのはそうした形式を取りながらもBMWの保証も適用されるということです。

日本の代理店社長はレジェンド・ドライバー

 日本でのアルピナは「ニコル・オートモビルズ」という企業が正規代理店となっています。ニコル・オートモビルズは1979年からアルピナ車の輸入販売を開始、2020年11月までに累計5655台。なにしろドイツ現地での生産台数が年間2000台に満たない少量生産メーカーなのですから、累計販売台数の少なさも納得がいきます。

 ちなみにニコル・オートモビルズの社長であるC.H.ニコ・ローレケ氏は、かつてニコ・ニコルという名前で日本のレースに出場。F2レースや富士グランチャンピオンシリーズで活躍し、多くのファンを持つレジェンド・ドライバーです。

「B」「D」のほか「X」もある

 さて今年のCOTY部門賞「パフォーマンス・カー・オブ・ザ・イヤー」に選ばれた、BMWアルピナB3とはどんなクルマなのでしょう。アルピナのネーミングには法則性があります。「B」とはベンゼンの意味でガソリンエンジンを意味します、ディーゼルエンジンは「D」となります。

 一桁の数字はベースモデルのものでB3ならば、ガソリンエンジンを積む3シリーズとなります。「X」もあり、もちろんそれはSUVのXシリーズです。またセダンは「リムジン」、ワゴンは「ツーリング」の名で呼ばれます。つまりB3は3シリーズのガソリンモデル、ボディタイプはリムジンとツーリングが存在します。

303km/h巡航を可能にする3L直6ツインターボ

 アルピナB3に搭載されるエンジンは3リットルの直列6気筒で、ツインターボ(アルピナではビターボと呼ぶ)方式です。最高出力は462馬力、最大トルクは700Nmにも達します。BMWの標準モデルBMW M340i xDriveの3リットルツインターボが387馬力/500Nmですので、このアルピナB3の心臓がいかに強靱なものであるかがわかるでしょう。

 サスペンションは独自のチューニングが施されたものを装備。タイヤはフロントが255/35ZR19、リヤが265/35ZR19(オプションは20インチ)となります。

 エンジンのパワフルさは申し分ありません。公道試乗なので無理はしていませんが、カタログ値である0→100km/hが3.8秒、巡航最高速度303km/hは偽りがないであろうと感じさせるフィーリングです。ミッションはZF社と共同開発した8速で、オートで乗っていても十分にソリッド感のある変速フィールを持っています。

上質感とスポーツ性を異次元で両立

 なによりも驚かされるのは19インチという大口径ホイール&35%扁平のタイヤを履きながらも、十分にコンフォータブルな乗り味を持っていることです。

 アルピナユーザーはアウトバーンを高速かつ快適に移動することを求めているといわれます。シャシーセッティングは、休日にサーキットに出向いて走行会を楽しむようなレベルとは異なる次元のものが求められていて、それを見事に実現しているところは脱帽以外のなにものでもありません。

 BMWの世界観をさらに高次元に高めたモデルのアルピナ。さて、そんなアルピナB3の価格はリムジンで1229万円、ツーリングで1297万円。クルマの性能もスペシャルなら、価格もスペシャルですが、所有する喜び、ドライブする快感は素晴らしいもので、このレベルのクルマを買える層の方はぜひ一度テストドライブするべき一台だといえます。

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