アフター業界の勢力地図まで塗り替えつつあるジムニー&シエラ
登場から既に約2年半が過ぎても、相変わらず人気のスズキ・ジムニー&シエラだが、アフターパーツ業界に激震が走っているのはご存知だろうか。先代のJB23型までは取り扱いをしていなかったカスタマイズ系メーカーが、それこそ怒濤の勢いで参入してきているめだ。
先代ジムニーのカスタマイズといえばいわゆるオフロードスタイルが基本で、各ショップやメーカーが世に放つボディキットも、その概念を基本にした意匠が基本だった。が、その様式美にこだわらない、今までのジムニーにはなかった(少数派としてはいた)価値観を、アフターパーツメーカーが次々と送り込んでいるのだ。そこで今回、そんなニューウェーブを巻き起こしたエアロメーカーのデモカーを、いわゆる「化け系」と「独自スタイル系」それぞれを2台ずつ紹介していく。
【リバティウォーク】LB-WORKS G63を自らオマージュしたミニ“G”
新型ジムニーのカスタマイズシーンにおいても、話題の中心になっている「リバティーウォーク」。2019年の東京オートサロンでは、カスタムカーコンテストでリバティーウォークの“G mini”ボディキットを装着したオカダエンタープライズのジムニーが、Kカー/コンパクトカー部門において最優秀賞、グランプリに輝いた。
リバティーウォークの「lb★nation G mini」は、同社の「LB-WORKS」ボディキットを纏うメルセデスベンツG63がモチーフ。いまさら説明する必要もないかもしれないが、自身のボディキットをオマージュし、リバティーの卓越した技術でジムニーに落とし込んだというワケだ。完成した姿はまさにミニGクラス。スケールこそホンモノのG63には敵わないが、ディテールのデザインアプローチや、持っている雰囲気は見間違うぐらいウリふたつの親子。
ジムニー/ジムニーシエラ用のボディキットは、リバティーウォークの国産車向けエントリーモデルとなる“lb★nation”にカテゴライズ。フロントバンパー/フロントグリル/ワイドフェンダーを基本3点として、ライト~プレミアムまでコンプリートキット価格が設定されているほか、単品購入も可能。そしてLEDテールランプやオリジナルホイールなどのオプションアイテムもスタンバイ。
【DAMD】英国が生んだ正統派四駆の雰囲気を新しいクルマで堪能
長いKカードレスアップの歴史を語る上で、多くの人たちを驚かせ、また笑顔にさせてきたのが「ダムド」だ。同社は名作とも言える、数多くのエアロをこれまで世に贈り出している。それはジムニーでも同様で現在まで4種のボディキットを発表しているが、その中から今回紹介「リトルD」を紹介。こちらはランドローバーが販売していた強靱な四駆モデル、ディフェンダーのオマージュとなる。
無骨なスチール風バンパーやグリルなど、実車の特徴をジムニーの枠の中でリアルに再現。またグリルとリアバンパーに採用された丸型ランプは、既製品を使わずに何とイチから型を起こして開発するというこだわり。「灯火類のサイズ感はとても重要で、既製品から探すとなるとちょうど良いサイズのランプがなかなか見つからない。そこで自社で作ってしまおうとなりました」。
そのグリルは実車の迫力に近付けるべく、前方に張り出しを加える。純正ボンネットに貼り付けて凸形状に変化させる、ボンネットカバーも設定。フロントバンパーはアンダーガード風の造形と一体型。丈は純正よりも短く、タイヤのトレッドをおもむろに見せる。
足元はホイールメーカークリムソンとのコラボ作「DEAN クロスカントリー littleD.エディション」。そこに合わせたフェンダーの出幅は、リトルD・G共に片側8ミリ。プレスラインを加えて数値以上のワイド感を表現している。
【KLC】少ない手数で変貌させるテクニックに色と車高で個性を出す
大袈裟な装飾は施さず、シンプルなパーツをほんの数点。それなのにガラリと見違えるほどスタイルアップする、それが軽自動車専門メーカー「KLC」のジムニー専門ブランド「ヘリテージ」だ。ヘリテージは色使いやパーツの組み合わせ、車高の高さなど、ほんのちょっとの違いで変化を見せるスタイル。発表したデモカー数は、おそらく業界ナンバーワンの12モデル(執筆時点)。様々なシーンに合わせた数多のカスタムは、ジムニーの可能性を教えてくれる。
紹介するデモカーはジムニー純正のブリスクブルーメタリックに、FJクルーザーの純正色であるベージュをプラスした「ハーフペン手法」を採用。するとこんなにもオールドアメリカンな雰囲気に生まれ変わることに驚く。グリルはヘッドライト周りを四角く落とし込み、横フィンを配した意匠。ライト周りは黒、枠やフィンは落ち着いたーシルバーで塗り分けを施す。
シンプルなオリジナルバンパーも、クラシカルなイメージを底上げ。そしてこの仕様では車高もポイントになっている。フロントはノーマル車高そのままに、リアのみ約50ミリのローダウン。「ケツ下がり」なシルエットにすることで、ローライダー的なカッコ良さを表現。「東京オートサロン出展時、年配の方たちからは『カリフォルニア仕様だ!』と好評でした」。
ペアタイヤは外してスムージングパネルを装着することで、スッキリとさせたリアフォルム。マフラーは細いパイプを使ってダウンテールに仕立て、わざとチープな感じに見せて、レトロ感を出す提案だという。
【K-BREAK】ジムニーが好きだからこそ、ストリートユースのスタイリング
カリスマエアロパーツメーカー「Kブレイク」のジムニー専用ブランド「ジムライド」。その第一弾がこのシエラである(ジムニー用もあり)。東京オートサロン2020では各メディアに取りあげられたので、ご存知の方も多いだろう。
エアロパーツを作る時、まず「自分たちが乗りたいスタイルであるか」を考えるという。売れ筋とか造形の容易さとか、いわゆる商業的なことは二の次。車が大好きで、ドレスアップが大好きな自分たちが納得出来る仕様。そうして辿り着いた形は定番のクロカン風でもなければ、外車風仕様でもなかった。
最大の特長はグリル。ヘッドライト横まで横フィンが伸びるビレット風が新鮮。単に横棒を連ねただけではのっぺりしてしまう。アールを駆使して凹凸を表現したり、上下のフィン形状を微妙に変えるなどといった、細かな作り込みで表情を引き締める。
前後バンパーは純正のカタチを生かしつつ、アレンジを効かせてショート加工。オーバーフェンダーは出幅はほぼ純正同様だが、角度を起こしてワイド感を演出。それぞれ単品でも装着出来るし、各パーツ自体はシンプル。けれどトータルで纏った時に放つ、独特のストリート風な空気感。シンプルながら跳ね上げた形状のウイングは、アダルトな中にもそこはかとないやんちゃ感を演出。
ビス留め風フェンダーは、上面を起こして存在感を出す。外側にプラスする専用アウターフェンダーはアクセントにもオフセット調整にも有効。そこへ合わせたホイールはオリジナルの「鉄珍(てっちん)」。デモカーにはブラックを合わせたが、ホワイトも設定。シンプルなディスクにはあえてステッカー等は貼らず昔風に表現。