アウトドアにオススメの5台をピックアップ
アウトドア派でも、普段の日常使いを考えると、「いかにもな」な本格クロスカントリーモデルに抵抗がある人もいるはずだ。街中でも扱いやすいコンパクトサイズかつスタイリッシュで、しかし、いざというときには信頼感ある走破性を発揮してくれるような、能ある鷹は走破性を隠す!? クルマが理想ではないだろうか。まさか、そんな都合のいいクルマなど、そうはないでしょ、と思うのは間違い。あります。何台も。
1)スバルXV
国産車の筆頭が、スバルXVである。個人的には今、新型レヴォーグとともに大好きな1台でもあり、ハッチバックモデルのインプレッサスポーツをベースに全長4485×全幅1800×全高1550mmという、立体駐車場への入庫も容易なコンパクトかつ低めのボディサイズが与えられた真正クロスオーバーモデルである。
しかも、最低地上高を本格SUV同等の200mmとし、スバル自慢のシンメトリカルAWD、さらにはフォレスターなどにも採用される、悪路からのスムーズな脱出を実現する2モードのXモード(ヒルディセントコントロール付き)を備えるなど、見た目の泥臭さ皆無のスタイリッシュさからは想像もできない走破性の持ち主なのである。
以前、冬の軽井沢で、片側雲泥路、片側積雪路という左右異なる路面のモーグルを、驚くほどの容易さで走破した経験があるのだが、あとでタイヤを見て、もう一度、びっくり。なんと標準のサマータイヤだったのである。AWD、Xモードの威力を実感できた経験だった。
もちろん、水平対向エンジンの2リッターモデル、そのマイルドハイブリッド版と言えるアドバンスを選べば、ドライ路面での走りの質感も極めて高い。濃厚で質の高いエンジンフィール、アドバンスならスバルの実用エンジン最上の高級感溢れる走りのテイストさえ味わえるのである。
スバルXVの魅力はそれだけではない。アウトドアのつきものの大きめの荷物を楽々積み込めるラゲッジルームも備えている。とくに開口部の広さに注目で、幅の広い荷物を横方向のまま出し入れする際も、無理なく積み込めるほど。
ラゲッジフロアは奥行810mm、幅1090mm、高さ710mmと、コンパクトステーションワゴンに匹敵する広さで、カップルでのアウトドアライフなら、後席を格納することで奥行は1690mmまで拡大できるから、積載力に関しても余裕たっぷりと言っていい。
ちなみに、ラゲッジフロアは開口部から70mmほど低くなっているのだが、フロアボードの手前を持ち上げ、固定することで、段差がほぼなくなるアイデアも持っているため、重い荷物の出し入れも容易になる。
もちろん、最新の先進運転支援機能のアイサイトも用意し、アウトドアフィールドへ向かうロングドライブも安心安全。日常と季節、路面を問わないアウトドアシーンのどちらでも極めて満足度の高い1台と断言できる。
2)トヨタ・ライズ/ダイハツ・ロッキー
続いて紹介するのは、5ナンバーサイズのクロスオーバーモデルとしてデビューし、瞬く間に大ヒット作となったトヨタ・ライズ、ダイハツ・ロッキー兄弟である。
DNGA(ダイハツ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)を使う基本骨格に最大出力98馬力、最大トルク140Nmを発揮する3気筒1リッターターボエンジンにD-CVTを採用。最低地上高は185mmと、けっこう本格的な悪路走破性など両車共通で、なによりコンパクトなボディと視界、見切りの良さによって、普段使いでの扱いやすさはもう抜群。アウトドアシーンで狭い獣道を行くような場面では、1695mmのナローな車幅は絶対的な強みになるのである。
コンパクトなボディサイズだから、荷物の積載性を心配しそうだが、さにあらず。荷室は幅1000mm、後席使用時の奥行755mm、後席格納時の奥行1330mm、天井高865mm(最小740mm)と、5ナンバーサイズのクルマとは到底思えない369Lの容量で、なおかつ床下の買い物かご2個分の大容量アンダーラゲージを含めると、なんと449L(2WD)もの広大な荷室空間となる。
2段可変式のデッキボードの使いやすさもさることながら、デッキボードを外せば、観葉植物のような背の高い荷物にも対応してくれるのだから、アウトドアユースを含め万能だ。ラゲッジフロアが地上665mmという低さも、重い荷物の出し入れを容易にしてくれる点も見逃せないポイントだろう(本格SUVは700mm以上が多い)。
ちなみに、車内WI-FIなど、つながる機能に関しては、ダイハツ版のロッキーに軍配が上がる。
3)スズキ・クロスビー
国産車でお薦めの、お手頃価格で手に入る走破性自慢のコンパクトクロスオーバーとして紹介したい1台が、スズキ・クロスビー。デビュー当時“デカハスラー” などと呼ばれたものだが、こちらは普通乗用車。ズバリ言えば、ジムニーシエラまでは必要ないけれど、日常からアウトドアまで幅広く、快適便利かつ走破性を含め安心して使いたい人向けのコンパクトクロスオーバーモデルである。
ボディサイズは5ナンバーでも全長3760×全幅1670×全高1705mmと、幅の狭さがスズキらしさ。それでいて最低地上高は180mmを確保し、28度のアプローチアングル、40.4度のデパーチャーアングルを備え、4WDモデルならかなり本格な走破力を可能にしてくれるのだ。
何しろFF/4WDモデルには下り坂でブレーキ操作不要で車速を約7km/hに抑えてくれるヒルディセントコントロール、4WDモデルには雪道での発進、加速をサポートしてくれるスノーモード、悪路での発進をサポートするグリップコントロールまで備わり、悪路、雪道、急坂の下りも安心安全だ。
パワーユニットは、1.5リッターNAエンジン並みの出力とトルクを誇る1リッター直噴ターボ+モーター機能付き発電機によるマイルドハイブリッド。スムーズでトルキーな走りを実現し、燃費性能も優秀だ。
アウトドア派が選ぶべき小型SUVとして、上記以外の決定的な美点として挙げられるのが、HYBRID MZ、HYBRID MV限定ながら、防汚フロア&防水加工シートが装備されること。雨に濡れたまま室内に入っても、汚れた荷物をラゲッジに積んでも心配無用というわけだ。
コンパクトなクロスオーバーSUVとはいえ、ラゲッジスペースに不足なし。開口部の幅は1100mmと幅広く、フロアは後席使用時こそ525mm(後席スライド前端位置)だが、カップルの乗車時なら後席格納によって奥行は1165mmまで拡大。幅は1305mmもあるから、アウトドアの荷物もたっぷり積み込めるはず。
さらに、ラゲッジ床下には2WDで81L、4WDでも37Lの収納容量があり、その部分のラゲッジアンダーボックスは取り外し、丸洗いが可能で、アウトドアで汚れた荷物などを持ち帰る際にも重宝する。
4)三菱エクリプスクロスPHEV
そして、今回のお題にぴったりかつ、もっともホットな1台となるのが、グッドデザインアワード2020受賞の三菱エクリプスクロスに新たに加わったPHEVモデルではないだろうか。
ボディサイズは全長4545×全幅1805×全高1685mmとコンパクトで、最低地上高は従来からあるガソリン車の175mmに対して185mmにUP。アウトドアで(災害時にも)うれしい、アウトランダーPHEV同様のAC100V/1500Wコンセントを用意し、車内外で1500Wまでの電気を供給できるとともに、家庭への給電もV2H機能によって可能となるのである。
ラゲッジスペースは後席使用時で奥行770mm、幅1000mm。後席格納時の奥行き1540mm。PHEVの場合、電動装備の都合でフロアが高まっているため高さ方向ではやや不利になるものの(ゴルフバッグではガソリン車が4個、PHEVが3個の積載となる)、ちょっとした床下収納もあり、十二分な積載能力と言えそうだ。
もちろん、三菱自慢のS-AWCによる走破性は、今さら語ることもない信頼性の持ち主。最低地上高185mmとの組み合わせで、道なき道を進むことも容易になる。前席シートヒーター&ステアリングヒーターなど、冬のアウトドアドライブにうれしい装備も用意し、コンパクトクラスのクロスオーバーモデルとして、アウトドアで最強の1台と言っていい。
5)ジープ・レネゲード
最後に、輸入コンパクトSUVで、”見た目は本格すぎない”1台として、シープ・レネゲードを紹介したい。いかにもジープらしい顔つきを持つものの、ボディサイズは全長4255×全幅805×全高1725mmと、街中で使うにも大きすぎないコンパクトSUVなのである。
実際、レネゲートの立ち位置は、シープの雰囲気を味わえる都会派SUVというもの。プラットフォームやパワーユニットをイタリアのフィアット500Xと共用してはいるものの、より本格SUVらしいのは、ズバリ、こちらなのである。
とくに4WDのトレイルホークは最低地上高210mmという本格派(他グレードは2WDで170mm)で、ジープが世界最高峰のオフロード性能を備える車両として認める独自の規格である、地球上で最も険しいトレイルで実施される過酷なオフロード性能試験に合格したモデルに与えられる「TRAIL RATED」バッジが付いているほどなのである。
パワーユニットは全グレードともに1.3リッター4気筒直噴ターボだが、ミッションがFFの6速DTCに対して、4WDは9ATと、ワンランク上になるのも、ジープの4WDモデルへのこだわりだろう。
ラゲッジスペースは奥行740mm、幅950mm、高さ755mmと、後席使用時ではそれほど広くないように感じるが、実はテールゲートがほぼ直角にデザインされているため、実際の容量は、荷物の積みやすさは文句なし。
後席をフラットに倒せば、奥行は1500mmまで拡大できるから、アウトドアの荷物も無理なく積み込めるはずである。今回紹介した5台のうちで、都会でもまずまず使いやすく、しかし本格なルックス、SUV機能、走破性で一歩リードするのは、このシープ・トレイルホークの4WDだろう。