家族からの接し方にも示唆
次に家族へ向けた情報としては、高齢ドライバーとの接し方が一番の難題だろう。大学の専門家は、運転の危険性を大げさに伝えたり、本人のプライドを傷つけたり、運転を続けていることに文句を言ったりすることは避けるべきだと助言している。
では、どう説得すればいいのか。まずは、補償運転を薦めてみることだという。昼間や天気のよい日の、近距離の移動は自分で運転することにする。それによって危険との遭遇を減らすわけだ。
ほかに、クルマの装備として、ドライブレコーダーやドライブレコーダー付きサービスを利用したり、安全運転サポート車(通称サポカー)に買い替えたりするなどが紹介されている。
ドライブレコーダー付きサービスとは、保険会社や通信会社が提供する支援で、事故の際に自動で対応したり、家族に連絡したりするもの。また日常的な運転のなかで、危険な運転をした際に警告音で知らせたり、運転状況を診断し、改善点を教えてくれたりするなど、事故防止につながる意識付けもしてくれるという。
しかしいずれにしても、本人と家族の親密さや信頼関係が不可欠というのが家族へ向けた対応策の結論であり、一朝一夕に解決できる話ではなさそうだ。それでも、家族からそうした情報を本人に知らせることが、安全運転を自覚したり、運転免許証の返納を検討したりするきっかけにもなっていくだろう。
トヨタは、グループ創業の豊田佐吉の意志に基づいて制定した行動指針に則し、クルマを通じた豊かな社会づくりを目指すとしている。クルマの安全性を高めるのはもちろん、クルマ社会全体の課題(環境や利用の仕方なども含め)を解決するため、消費者とその家族への啓蒙活動も、すべての自動車メーカーに求められる時代となっている。