ランドクルーザー50系(1967年-1980年)
■ヘラジカとよばれたステーションワゴン系の源流
北米やオーストラリアでは、より大型で快適なステーションワゴンスタイルのSUVが求められるようになり、50系はそのニーズに応えるべく1967年に生産が始まった。
ランドクルーザーとしては初めて工業デザイナーを起用したモデルで、国内の小型自動車枠にこだわることなく北米市場を重視し大型化されたユニークで洗練されたスタイルを採用。鉄板むき出しだった内装は樹脂性のトリムでカバーされ、インパネも樹脂や発泡ウレタンを多用し、ステアリングホイールのセンターにパッドを加えるなど車内の質感も向上し、ステーションワゴンらしさを演出した。北米では人気を博し、『ムース(へら鹿)』という愛称で呼ばれた。
メカニズムはトランスミッション、アクスルは共通であるが、ラダーフレームは改良されている。40系には剛性を上げるためにサイドフレームにリベットでボックス断面部分が増やされていたが、50系では溶接式のボックス断面形状となり、コの字形の断面部分が無くなった。この改良により剛性は約20%アップ、重量は10kgの軽量化が実現した。
快適で乗用車的な性格を備え、ランドクルーザーの真骨頂である過酷な条件下でもしっかり使える基本性能はキープした、この後の200系へと続くステーションワゴン系の源流といえるモデルである。
海外では人気を博した50系だが日本では維持費が高くディーゼルエンジンの設定もなく、燃費が悪かったことなどが原因で販売台数は振るわなかった。日本国内で現存している50系は少なく絶滅危惧種のような存在となっている。
ランドクルーザー60系(1980年-1989年)
■モダンランドクルーザー
1970年代、アメリカでは4WDステーションワゴンの人気は確固たるものになっていた。各メーカーは争うようにボディを大型化し、装備を充実させていった。ランドクルーザー50系は北米市場のトレンドをいち早く取り入れたモデルであったが、さらに大きく豪華なSUVをと望む声に応えるためにニューモデルが必要になり、ランドクルーザー60系は1980年にデビュー。
全長4750mm、全幅1800mmと50系と比べ全長で75mm、全幅で65mm拡張され、ボンネットから独立していたフェンダーも一体感のあるものになり、モダンなデザインになった。ボティはラフな路面を走るときに出る騒音と振動を軽減するためにパネルの継ぎ目や固定方法が改良され、50系で見直されたラダーフレームは大きくなったボディに合わせてサイドメンバーの延長、配置も見直され室内も広くトレッドもワイドになり車輌の安定性も向上した。
サスペンションは乗り心地を向上させるためにコイルスプリングや独立懸架も検討されたが、世界のあらゆる道を走らなければならないランドクルーザー、信頼性が高く、部品点数も少なく修理も容易なリーフリジットが引き続き採用された。
エンジンは50系よりキャリーオーバーされたガソリンの2F型、ディーゼルの3B型が搭載された。
1982年、デビューから2年で早くもマイナーチェンジが行われた。このマイナーチェンジでは機能、装備の充実したハイルーフモデルも追加。2H型4リッターディーゼルも投入し、ミッションはファイナルの変更でハイギアード化され高速走行も快適になった。
この後もマイナーチェンジを重ね、1987年60系最後のマイナーチェンジが行われた。ヘッドライトが丸型2灯から角型4灯へ変更になり、ワイドタイヤを履いたオーバーフェンダー装着車もラインナップされた。ランドクルーザー60系は四輪駆動車がタフな実用車から快適に多目的に使えるSUVへの過渡期の代表的1台だった。