「SUV時代」のあと、クルマの形状はどこへ向かうのか
そして再び注目されるのは、4ドアセダンであり、ステーションワゴンではないかと思う。理由は簡単だ。高齢化社会を向かえるに際して、ミニバンやSUVの座席は高すぎて乗り降りしにくい。SUVの荷台は床が高く、重い荷物の載せ降ろしが辛い。高齢者には不都合な車種なのだ。
同じことは、若い世代も同様ではないか。体力的な心配はなくとも、高さのある着座位置への乗り降りは、日々の使い勝手としてはよくない。まして子供を連れて出かけるには不便だ。したがって、軽自動車のスーパーハイトワゴンや、登録車でもシエンタのようなワゴンが高い人気を集めている。そこには、スライドドアという条件も加わるのではないか。
トヨタの「JPN・TAXI」が、それらを象徴している。バリアフリーでユニバーサルデザインであることを、これからのクルマは求められるはずだ。個人で所有するクルマも、そのような姿が老若男女、万人向けであるだろう。そのうえで、より格好のよい造形がもたらされたら、買いたくなるのではないか。
そこに至る着想が生まれる前段階として、ミニバンが流行り、SUVが流行ったことに意味はある。そこにモータ駆動と自動運転が加われば、まさに未来の次世代車ではないか。そして自動運転で迎えに来てくれたら、必ずしも所有する必要もなくなる。
まさに「CASE(コネクテッド=情報通信・オートノマス=自動運転・シェアード=共同利用・エレクトリック=電動化)」は、様々なクルマを経験したからこそ辿り着いた時代の要請なのだ。