昭和を知らない若者にも愛される旧車の世界
11月8日、THE銀座RUN実行委員会が主催する「THE銀座RUNエシカルミーティング」が開催された。これは東京・中央区に残された歴史や文化を伝えるイベント「中央区まるごとミュージアム」と連携し、行われている。
20世紀以前に生産がなされた国籍問わずのクラシックカーが集結、銀座や日本橋などをパレード風ツーリングを行い、沿道のギャラリーを賑やかせた。今回は会場となった晴海三丁目車両待機場で見つけた、2台の国産旧車を取り上げてみよう。
友人から薦められた漫画の影響で一目惚れ
モノトーンのシルバーが渋い1972年製のダットサン240Z。父親から譲ってもらったスバルレガシィ→日産180SXを乗り継いだ平田さん(30歳)は、友人から薦められて読み始めた「湾岸ミッドナイト(小学館/ 講談社発行)」をきっかけに、フェアレディZに一目惚れをした。
その興奮を引きずったまま首都高を走り、パーキングエリアに寄ったある日のこと。
「たまたま隣に駐車してきたのが青いフェアレディZでした。あまりにも偶然で驚きを隠せなかったです。ドキドキしながら現車をみたら素直に、格好良い、素敵だなぁ、と。いつかは欲しい、乗りたいって思いました」。
いまでもその時のことを鮮明に覚えているという平田さんは続けて語る。
「その頃、アメリカに行く機会が多くて、現地で知りあった日本の方が“この”240Zを日本に輸入(2016年)したんです。レストアが終わった情報は聞きましたが、当時はお金がなかったので“欲しい”とも言えずに諦めていました。ちょうど3年前に、その方が手放すという情報が入り、“このチャンスを逃したら買えない”と思い、当時200万円ほどで購入しました」。
アメリカで見かけてから4年の月日が経った2017年、その時のクルマが自分の手元にやってきたというのだから、縁を感じられずにいられなかったという。
「買った当時は、ミッションがATだったのでMTに載せ替えたんです。エンジンのキャブレターはSUだったので、憧れだったウェーバーに交換。フロントバンパーは、湾岸ミッドナイトの影響を受けてオリジナルから変えています。ほかにも、LSD(デフ)やタワーバー、ロールケージなど自分でパーツを見つけて暇を見て装着しているんです」。
国内外で販売がされていたこともあり、生産台数が多いというZ。ある程度の部品は手に入り困ることが少ないというが、それでも細かい部品は入手をしていかないといけなさそうだ。
「困らないとは言いながら2日前にアクセルリンケージが壊れまして(笑)。さすがにディーラーに問い合わせてもそのパーツはなく、ターンバックルと全ねじ棒で応用し、今日のイベントに参加することができました」。
「キャブレターも前日に調整をしたのですがなかなかセッティング決まらず、今日もグズついていますが、セッティングが決まったときや上手く操れた日には、いまのクルマにはない一体感を得られ手を加える度に愛着が増すので楽しいですね」。
「墓場まで持って行きたい」と言うほど、240Zにゾッコンの平田さん。増車をしても絶対に手放さないと語ってくれた。
「エンジンや足まわりなど、まだまだ手を加えたいところがたくさんありますが、現状を維持しながら乗って行きたいと思いますね。今世に残していかないといけないクルマなので!」。そう語る、平田さんの隣には暑くても寒くても付いてきてくれるというお方が。なるほど彼女の理解もあるからなのだと思われた次第だった。