実は牛の仲間である「羊」のエンブレム
そこで今回は、少し穿った見方で牛のエンブレムを探してみました。と言いつつ、実際に探してみると多くはないんですね、牛のエンブレムって。そもそも牛の定義として水牛は納得ですが、羊もカモシカも、実は牛の仲間だって知ってました? そしてそこまで範囲を広げてくるといくつか候補が浮かんできました。先ずはラム(Ram)。もともとはクライスラーのダッジから独立したブランドでしたが、現在はフィアット・クライスラー・オートモビルズ(FCA)のブランドの一つでピックアップに特化した商用車ブランドとなっています。
かつてはダッジ全体で使用していた、雄羊(Ram)をデザインしたエンブレムは、現在ではラム専用となっています。ちなみに雄羊はRamで羊肉(Lamp)も羊の尻肉(Rump)も綴りは違うもののすべてラムです。ますます紛らわしくなってきますね。
続いては国産車の例を紹介しましょう。69年に登場した2代目パブリカ(P30系)の後期モデル(P50系)のノーズ中央にはカモシカをデザインしたエンブレムが貼り付けられていました。これはエンブレムではないのですがスズキ・ジムニーには「シエラ・エルク」というモデルがあり、リアに背負ったスペアタイヤのカバーにエルク(Elk)をデザインしたステッカーが貼られていました。
また日産シルビア(3代目)の兄弟車として79年に登場した日産ガゼールは、TVドラマ『西部警察』に登場した際にオープンモデルにコンバートされるとともに、ボンネットにはガゼル(Gazelle)をデザインしたデカールが貼られていました。
さらに、これは乗用車ではなく商用車なのですが、日産が70年代末から80年代にかけて販売していたクルマに日産バイソンというキャブオーバートラックがありました。バイソン(野牛。Bison)に因んだ車名でしたが、こちらはバイソンをデザインしたエンブレムやステッカーは貼られていませんでした。
また同時期に川崎重工業が販売していたデュアルパーパスタイプの250TRが愛称として“バイソン”を名乗っていましたが、商標登録の関係から、正式名称でバイソンを名乗ることはありませんでした。しかし、羊が牛の仲間だとは知りませんでした。あと7年経って未年(ひつじどし)となった時にはまたもう一度、今回のようにランボルギーニからバイクのバイソンまでを紹介することになるのでしょうか、干支の文化とクルマの文化、廃れて欲しくないですねぇ。