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「爆音なのに激遅」に「走れば火花」! やっちゃいけない「マフラー交換」の勘違いカスタム5選

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TEXT: 平塚直樹(HIRATSUKA Naoki)  PHOTO: WAGONIST編集部、Auto Messe Web編集部

ひとつ間違うと取り返しがつかない大失敗をまねく

 クルマのカスタムで人気のひとつが社外マフラーへの交換。排気音を好みの音質にしたり、排気効率アップによるポテンシャルの向上、テールエンドを変えることでドレスアップ効果を狙うなど目的は様々だが、ひとつ間違うと取り返しがつかない大失敗をまねく場合もある。

 ここでは、その昔(2000年〜2015年頃)、筆者がカスタム雑誌の編集長を務めた時代に見聞きした、マフラー交換の「やっちゃった」事例をいくつか紹介しよう。

1)ぶらぶら揺れるサイレンサー

 走行中に、車体後部から出たマフラーのサイレンサー部がぶらぶらと揺れてしまうクルマは結構いた。主な原因は、車種に適合していないマフラーを「適当に」装着したため。マウントが専用でないから、しっかりと固定できていなかったのだ。他車のパーツを無理矢理流しているケースも多く、マフラーを支えるマウントがきちんと取り付けられていないことも

 なかには、針金などでマフラーをまさに「ぶら下げる」ように付けていた強者もいたが、走りながら揺れるマフラーなんてのは、まず見た目がよくない。しかも、大きな段差などを通過した際の衝撃で、マウントが外れてしまったら大変! マフラーが落ちて他の車両や歩行者にあたり大事故となるケースだってある。「ゆらゆら」系マフラーはかなり危険で、超ダメダメなカスタムだ。

2)爆音のわりに遅い

 パワーアップを狙うため、大径マフラーに交換したはいいが、逆にノーマルより遅くなってしまうケースもよくあった。今なら、ちゃんとしたメーカーが製作したマフラーであれば、車種毎に形状も考えて設計してあるし、きちんとテストもしてあるため、確実にパワーアップが望める。マフラーメーカーのFUJITSUBOがテストを行っている様子

 だが、昔はただ「音が大きい」だけの「偽スポーツマフラー」もかなり市場に出回っていた。そういった製品を付けてしまうと、かなり残念な結果となってしまう。パワーアップが望めないだけでなく、レスポンスが悪くなったり、燃費がガタ落ちするという結果を招くことが多いからだ。音が大きいだけでいつまでも近場にいることも

 マフラーのカスタムには、エンド部の交換だけでなく、排気マニホールド(通称タコ足)なども交換し出力向上を狙う方法もある。特に、そういった大がかりなカスタム(チューニング)の場合は、コンピュータをセッティングし直し、適正な燃料供給量の調整などが必要となる。また、このようなコンピュータの燃調調整は、マフラーの出口を変るだけの場合でも、製品によってはやった方がいい場合もある。気になる場合は装着時にショップに相談することをお薦めする。本気で出力をアップしたいなら排気マニホールドも交換を行いたい

3)車高を落とし過ぎて火花

 これは、マフラー交換というより、無茶な低車高にしたことが原因で、走行中マフラーを路面に擦ってしまったといったケース。いわゆる「シャコタン」の悲劇だ。最近は、車高を上げるカスタムも人気だが、ちょっと前までは「クルマの車高は低いほどかっこいい」というカルチャーが定着していたため、「他人に負けない」ためにみんなが競って車高を下げていた。中には、地面とクルマとの隙間がタバコ1箱分といった極端な例もあったほどだ。シャコタンがブームとなったころ、腹打ちをするクルマが多かった

 だが、極端な低車高は、マフラーが路面に擦れたりする原因を招く。もし、走行中にそうなると、マフラーに穴があいたり、マウントから外れて前述の「ゆらゆら」系と同様、落ちてしまうこともある。また、路面とマフラーが接触することで火花が散ることもあり、そうなると火災の原因にもなりかねない。

 特に、ダウンサスやショートスプリングなどに多い、安価だが性能も劣悪なパーツを使い、車高を激下げしてしまうと大変。サスペンションがきちんとストロークせず、段差などでマフラーが路面にヒットしやすい。サスペンションがストロークせずに、マフラーの太鼓を擦って火花を散らすケースも

 また、有名メーカーの全長調整式車高調なら、ちゃんとストローク量が確保されているから大丈夫かといえば、そうでもないケースもある。メーカー指定の最低車高より落とせば、やはり適正なストローク量を発揮できず、マフラーが路面に擦れる恐れは十分にある。

 カスタムは、何事もバランスが重要だ。ちゃんと性能を発揮するパーツを選び、正しく取り付け、適正な車高で走る方が、結果的に安全で楽しいのだ。オートサロンに展示されたマツダスピードのRX-8

 ちなみに、車高とは関係ないが、15年ほど前に、マフラーから意図的に「バックファイヤー」を出すキットがアメリカにあった。レーシングマシンさながらに、カスタム車のマフラーから勢いよく炎を出すというもので、当時、動画などで紹介され日本でも話題となった。実際に、現地のウェブサイトでは販売もされていたようだ。

 ところが、ある時、その商品がプツリとネットなどから姿を消した。風のウワサによると、原因は装着車両の燃料タンクにバックファイヤーの炎が燃え移り、車両火災事故が起こったため、販売が中止されたというものだ。

 事の真偽は定かではないため、信じるか信じないかはあなた次第だが、火花や炎が出るカスタムは、クルマによくないだけでなく、むちゃくちゃ危ないことだけは確かだろう。

4)近所から苦情が来る

 せっかくお気に入りのマフラーを手に入れたのに、装着してみたら思ったより音が大きく、近所から「うるさい!」と苦情がきて、ノーマルマフラーに戻したというケースもよく聞く。これも、最近の社外マフラーなら、音量規制などをクリアしているだけでなく、エンジン回転数が低ければノーマルとほぼ同じレベルの音量になるため問題ないだろう。とくに住宅街ではマフラーの音が原因でもめることも。

 ただし、旧車などに乗っていて、マフラーも昔売っていたものをネットなどで購入した場合は注意が必要だ。昔のマフラーには、現在の音量規制をクリアしていないものも多いからだ。住宅街に住んでいて、ご近所に迷惑はかけたくないが愛車のマフラーを変えたいという人には、例えばフジツボからリモコンで排気音量が変更できる「VVV(ブイダブリュ)」というマフラーも発売されている。フジツボから発売されているVVV(ブイダブリュ)なら、スイッチひとつで音を切り替えることができる

 対応車種はスープラRZや86&BRZ、WRX STIなどのほか、旧車でもBNR32スカイラインGT-R用がラインアップされている。あまり対応車種は多くないが、それらクルマのオーナーには注目のアイテムだといえるだろう。

5)車検に通らない

 社外マフラーに関する規制は、現在かなり強化されている。特に、2010年4月1日以降に製造された車両に関しては、マフラーを交換する場合、従来からの近接排気騒音値に加え、加速走行騒音値もクリアし、国土交通省の指定する「事前認証」を得ている製品でないと装着できない。車検証には音量値なども記載がされている

 当然、車検もクリアできないのだ。では、そういった製品はどうやって見分けるか? これはマフラーのサイレンサー部に「性能等確認済表示」が刻印された金属製プレートが付いているかどうかで分かる。プレートには「JQR」「JATA」「JARI」のいずれかの確認機関名が刻まれるほか、識別番号やエンジン型式も表示されている。マフラーのサイレンサー部分にある「性能等確認済表示」のプレート

 これらの表示があるマフラーならば、車検にも対応しているのだ。

 なお、2010年3月以前に生産されたマフラーの場合は、近接排気騒音値が96dB以下であれば基本的に車検を通る。だが、マフラー内部の消音装置が劣化するなどで規制値を超える場合もあるので、車検時には注意が必要。

 もし、規制値をクリアしない恐れがある場合は、製造メーカーによってはリビルトなどのサービスも行っているので、まずは問い合わせてみることをお薦めする。

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