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カスタムの一丁目一番地! じつは難しい「車高イジり」の世界

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TEXT: 佐藤知範  PHOTO: K-STYLE編集部、Auto Messe Web編集部

調整幅が大きく乗り心地も有利な車高調

 続いて車高調。正式名称は車高調整式サスペンションであり、その名が示す通り、車高を調整できるアイテムだ。基本的にローダウン向けで、同じ車高調で3センチダウン仕様にも5センチダウン仕様にもできたりする。あるいはフロントは40ミリ、リアは35ミリダウンというようなアレンジも可能。好みや用途に合わせて車高をミリ単位で調整できる。 スプリングとショックがセットで作られているから、ダウンサスやアップサスのように底づきや伸び切りのリスクも少ない。特に主流の「全長調整式(フルタップ式ともいう)」なら、ショックのブラケットによって車高調自体の長さを調整できるので、ストローク量を保ったまま車高を変えられる。10センチダウンも夢ではない。

 全長調整式のほかには「ネジ式」があるが、こちらは調整範囲があまり広くない。動かせるのは基準となる車高から上下にそれぞれ2~3センチくらいだろうか。さらにスプリングを縮めて車高調整する仕組みなので、その縮め具合によってバネレートやストローク量が変化する。がっつり落としたいというよりは、軽く落としてダウンサスよりも快適に乗りたいという人向きだ。

 参考コストは10~15万円あたり。しかし中には10万円以下や30万円近いの商品もあったりと価格帯は幅広い。取り付け工賃についてはダウンサス・アップサスと同程度の2~4万円でやってくれるショップが多いはず。

乗り味の硬さ・柔らかさまで調整できる

 車高調は車高だけでなく、ショックの減衰力を調整できる商品も多い。減衰力とは伸びたり縮んだりするスプリングの動きを抑える力のことで、これを調整することで、乗り味の「硬さ・柔らかさ」を変化させられる。

 ちなみに商品によって「16段階調整式」「32段階調整式」というように調整できる段階が異なるが、数が大きいほど硬くできる、柔らかくできるというわけではない。どの車高調もだいたいの調整範囲は決まっており、その中でどれだけ段階を刻むかという違いだ。

 やり方は車高調の上か下の方に付いているダイヤルを回すだけ。取り付け後にも調整でき(車種によってはダイヤルに手が届きにくいこともあり)、たとえば「普段は街乗りメインなので柔らかめ、フル乗車で遠出するときは硬め」というように、使い方に応じて減衰力を変えられる。

 ほかにアレンジできる場所としては、アッパーマウントの固定方法をゴムブッシュ式とピロボール式から選べたり、スライド式にしてキャンバー調整できるようにした商品もあり。ロアブラケットの固定穴が長穴になっていて、そこでキャンバー調整できるタイプも存在する。

 車高の調整はもちろん、乗り味やハンドリング、キャンバー角なども含め、足まわりのセッティングを総合的に変えることもできるのが車高調のメリットなのだ。ただし、調整できる=調整が必要ともいえる。付けるだけなら難しくはないが、理想や好みに合わせて調整するのは、それほど簡単なことではない。取り付けショップはきちんとノウハウのあるところを選ぼう。

話題のリフトアップ向け車高調とは?

 基本はローダウン向けといったが、実はリフトアップ向けの車高調もある。まだラインナップはそう多くはないが、タナベやRS-R、テイン、シュピーゲルといったメーカーから発売されている。

 これまでリフトアップといえば、どんなやり方にせよ上げ幅は固定、ショックも純正を流用するケースが多かった。しかしSUVブームの影響もあり、これまでローダウン向けの車高調を販売していたメーカーがリフトアップ業界にも参入。車高を自在に操れるリフトアップ向け車高調を作り始めたのだ。

 メリットはやはり車高の調整が効くこと、そしてショックごと換えることで乗り心地も向上させられることだろう。車高が上がると重心も上がり、カーブでふらつきやすくなったりする。それを抑えるためにスプリングを硬くすると、今度は突き上げ感が気になる。

 車高調ならスプリングに合わせた減衰力の出し方や調整により、その辺りをバランス良く解消することも可能だ。車高の調整も効くから、車両個体差による微妙な車高のズレ、人や荷物を乗せた際の車高バランスなども整えられる。これからはローダウンだけでなく、リフトアップでも車高調が選択肢に入ってくるだろう。

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