Kカーからキャリアアップしてスーパー耐久へ参戦
今回の参加者の中には、ゲスト扱いでKカーを楽しんでいる大崎達也選手の姿もあった。大崎選手は、スーパー耐久シリーズ ST5クラスに#182号車「CLOSE UP RACING R’s FIT3」で参戦しているドライバーだ。今時のレーシングドライバーといえば、幼少時からレーシングカートをやってきたカートあがりというのが定番だが、彼はレーシングカートあがりではない。
家庭環境として自動車競技の環境にはなかった大崎選手は、自動車免許取得後にトヨタMR-2(SW20)を手に入れてからサーキットデビューをしている。もっと上を目指す中でKカー走行会に出会い、そこを足掛かりに、鈴鹿でのフォーミュラエンジョイのFE-1クラスに参戦し2018年のタイトル獲得。さらに2019年にFE-2クラスを完全制覇。2019年のスーパー耐久シリーズ富士24時間レースに初参戦し、3位表彰台を獲得。そして2020シーズンは、同チームのレギュラーシートを獲得して参戦を続けているのだ。
「MR2で走行をしているときはいろいろイジっていましたが、チューニングに際限ないんですよね。そんなときにKカーを借りて走行をする機会がありまして、Kカーで走行をしているとだんだん運転がうまくなることがわかりました。なんといってもアンダーパワーで軽量、そして自分でセッティングもできる上に、ドライビングのミスがタイムなんかに露骨に響いてしまうんですね。自分がどう動かしたらいいかを常に問われているんです。また、大排気量車ではミスが大事につながることもあります。でもKカーなら軽いのですぐに止めることができます。それに、ドライビングも変えて簡単に試すことができので、腕を磨くにはぴったりなんです」。
「ごんた屋」の社長も楽しむ軽自動車の世界
なんと、東京オートサロンや大阪オートメッセでおなじみのLEDショップ「ごんた屋」の東田徳久代表取締役も参加していた。東田社長は奥様と常連客という全員レース初心者というメンバーで、自身のチーム「GONTAYA LCT(LED CIRCUIT TEAM)」を立ち上げ、このKカー走行会で腕を磨き、タカスサーキット主催の「TAKASU.66 CHAMPIONSHIP」に参戦し、シリーズクラス3位を獲得している。
今回は新たに仕上げたダイハツ・エッセのシェイクダウンも兼ねて、チームメイトと走行会に参加した。
「もともと大排気量&ターボ絶対主義でしたが、アルトワークスをライトチューンしてもらった車両でサーキットを走っていたらNAのエッセに抜かれたんですよ。もうね、それが理解できなくて・・・・・・。ミニサーキットならKカーでも普通車をカモることだってできる」とそこから小出力のKカーで遊ぶことにハマってしまった、というのだからKカーの世界も奥が深い。
レースクイーンだけのチームで耐久にも参戦
この日、レースクイーンとして走行会に華を添え、さらに自ら走行会に参加をした蒼井りなちゃん。LALA SWEETという事務所で結成したキャンギャルチームでKカーの走行会やタカスサーキットでの8時間耐久レースに参戦している。 自身でスイフトを所有するりなちゃんは、レーシングカートなどにも乗ってきて、もっといろんなクルマに乗りたいと、Kカーの世界に足を踏み入れた。「ナビック年忘れマッタリ練習会2020」は2回目の参加だという。
「普段から軽自動車は身近にありますが、安心安全に街中を走るクルマ、ファミリーカーとかお母さんのクルマっていうイメージしかなくて、こんなにも走るクルマなんだって知りました。MRレイアウトのS660とか非力なエッセなど走らせ方にもいろんな発見があって楽しいです」。
ドリフトから軽自動車に転身し新たな可能性を模索
ドリフト歴20年以上という中島恭子さん。10年ほど前にD1GPレディースリーグで活躍していたが、違うカテゴリーへ挑戦してみたいということで、ドリフト競技の第一線から退いたのちに、Kカーでの走行会に参加。
「FF車のドライビングの仕方がよくわかってなくて、Kカーに乗り始めて1年ほどですが、今までのクルマと全然違ってて難しいです。でもすごくいい勉強になります」。
コストもリーズナブルで続けやすいこともあり、恭子さんは頻繁に走り込みを行なっている。これを足掛かりに、フォーミュラエンジョイなど、新しいカテゴリーで勝負したいという想いがあり、フォーミュラへ乗ることを画策中だという。その目標に向けてまずはKカーで練習を続けていくという。
街乗りが定番のミラジーノがサーキット専用車へ
ちょっと変わりどころとしてミラ・ジーノを持ち込んでいたのは中西克之さん。ジーノだけに通勤車とか買い物クルマかと思いきや、サーキット走行専用車だという。もともとはスポーツカー好きで、NISSAN R35GT-Rも所有するが、そのR35はゼロヨン仕様にしてあり、サーキットでは乗らないという。
「ジーノは、自分が引き出してやらないと速く走れない。R35はこっちが引き出さなくても”クルマが”速く走ってくれますよね。それと、R35は全開走行ができない。できたとしても“一瞬”だけ。でもこれなら自分でも全開走行が可能で、けっこうな頻度で走れる。それがいいですよ」と語る。
軽自動車なら家族でも楽しめるサーキット遊び
家族みんなでこの走行会にやってきたのは福田清高さん一家。オートグローズという板金塗装等を行う自動車関連会社を経営しており、お客さんと一緒に来場。車両は福田家用に2台を持ち込んで、麻友さん(左から2番目)と親子で一緒に走行をしている。
「なんといってもコストが安いのと、イベントがしょっちゅう行われているからお客さんと一緒に参加しやすいですよね。クルマを作るために最初のイニシャルコストは多少かかるものの、その後は安く済むので、長く楽しめるというのがKカーの魅力!」という。