意外に難易度が高い 焚き火の火力調節
焚き火はキャンプの醍醐味ですが、薪を燃やすだけなら簡単です。火を点けて頃合いを見て追加の薪を焚べればいいんですから。しかしその焚き火で料理をしようとすると、意外にも焚き火は火力調節が難しく、食材が焦げたりクッカーが煤だらけになってしまいます。理由は薪を燃やす焚き火は揮発性のガスを盛んに吹き出し炎を上げて燃焼するからです。
慣れたキャンパーは炎が落ち着いて熾火(おきび)になるまで調理をしません。その際、熾はどんどん鎮火して火力を弱めていきますので調理に使う火力をうまく使うには、最初に多めの薪を燃やし、安定した熾火を作る必要があるのです。
とくに肉の煮込み料理などは2時間あまり熾を維持する必要があり、カマドを焚き火ゾーンと熾火ゾーンに分け熾を作っては供給するといった、手の混んだ方法を採ることもあります。ですが、炭を併用すると熾火の火力を簡単に安定させることができるのです。炭の素晴らしさはこんなところにも利用されているという訳です。
炭を知って使いこなせば 焚き火の幅がぐんと広がる
炭は、木材の揮発性ガスをあらかじめ炭焼き窯で燃焼させて炭化させることで純度の高い炭素のみを残したもので、古くは新石器時代から伝わる人類の英知です。薪には様々な成分が含まれるため燃焼によってガス化し煙や炎となって外に出ていきます。この余分なガスが炭には含まれないため、煙が出ずすぐに安定した熾火(おきび)になるのです。
木炭にはいくつかの種類がありますが、もっとも純度の高い炭素を残したのが白炭。代表的なものに備長炭があります。1000℃以上の高温で焼くため硬質な木炭になります。もう少し低い温度で炭化させたものが黒炭。白炭よりも柔らかく着火もしやすい使いやすい炭です。
近年ではオガクズを焼き固めたオガ炭やヤシガラを原料にしたヤシガラ炭といった成型炭も作られています。バーベキュー文化のアメリカで使われる炭はチャコールブリケットと呼ばれる成型炭で、木材原料の豆炭です。