対決の場は市場がメインだが サーキットにもそれぞれ足跡を
なお、この両車はサーキットレースでも使われたが、実は、真っ向から対決する機会はあまりなかった。ともに1300cc以下のGTカーとして、GT1クラスに区分される車両だったが、トヨタスポーツ800は、主にプライベーターよりトヨタのセミワークスチームが耐久レースで使った車両で、活動期間は1967年の前半期ぐらいまでだった。1967年の富士24時間レースでトヨタ2000GTと1〜3フィニッシュ演じた場面(3台並んでのゴール写真は7位の蟹江光正/高橋利昭組。3位のトヨタスポーツ800ではない)は余りに有名だ。
一方のホンダS800は、1966年からレースに投入されたが、プライベーターによるスプリントレース(クラブマンレース)への参戦が主体で、後にマツダワークスのロータリーを操りスカイラインGT-Rとやりあった武智俊憲も1968年にホンダS800で全日本ドライバー選手権のGT-1部門のタイトルを獲得している。
また、パワフルなDOHCエンジンと独立したシャシーは、カスタムレーシングカー作りに最適で、マクランサ(林みのる設計)やコニリオを生み出す原動力にもなっていた。
日本を代表するライトウェイトスポーツとして生まれたホンダS800とトヨタスポーツ800は、いまも旧車ファンの間で絶大な人気を誇っている。