高価なレーシングギアに付く「FIA公認」の意味
一見同じように見えるレーシングスーツやヘルメットなどのレーシングギアでも、じつは「FIA公認」の製品とそうでないものがある。サーキット走行をはじめとするモータースポーツを安全に楽しむうえで、とても重要となるこのFIA公認の装備について見ていきたい。
正しい装備が事故や怪我からドライバーを守る
走行会ではヘルメットと長袖、長ズボン、グローブの着用ぐらいしか服装の義務づけはないかもしれないが、JAF公認のレース競技に参戦する場合は、
●競技用ヘルメット
●頭部および頸部の保護装置(FHRシステム)
●レーシングスーツ(耐火炎レーシングスーツ)
●アンダーウェア(耐火炎アンダーウェア)
●バラクラバス(目出し帽)(耐火炎バラクラバス)
●ソックス(耐火炎ソックス)
●レーシングシューズ(耐火炎シューズ)
●レーシンググローブ(耐火炎グローブ)
といった装備品の着用が義務づけられている(アンダーウェアは国内競技では着用推奨)。
これを見れば一目瞭然だが、装備品でもっとも重視されているのは耐火炎性能だ。F1ファンなら2020年のバーレーンGPで、ハースのロマン・グロージャンがクラッシュし大炎上したシーンを覚えているはず。あのクラッシュからグロージャンが自力で脱出できたのは、マシンの安全性と耐火炎性の高いレーシングギアのおかげといえる。
厳しいテストに合格した製品が「FIA公認」となる
そうした装備品の耐火炎性を担保しているのがFIAの公認テストだ。そもそもこのFIAとは国際自動車連盟(Fédération Internationale de l’Automobile)のことで、FIAの公認を受けるには製造者はFIAに申請し、「ISO 15025:手順A(表面発火)」などに従った試験に合格する必要がある。
また、耐火炎性だけでなく製品やコンポーネントへの加圧、さまざまな角度から加わる衝撃に対しての耐久性など、いくつもの厳しいテストもクリアする必要があり、レーシングスーツに関しては、
●デザイン要素(ストライプ、パイピングなど)はアラミド繊維を使用(ISO 15025A 規格)
●着用者を持ち上げるためのストラップが、被服の左右の肩の頂部に組み込まれること(ストラップは車両の座席に触れない位置にあることを推奨)
●刺繍はレーシングスーツの外側のレイヤーのみに加工
●ワッペンの裏はISO 15025A 規格に準拠し耐火
●ワッペンをつける糸はISO 15025A規格に準拠し耐火