車両価格について
最後に気になる標準車モデルとの価格差であるが、特に最近のメルセデスAMGは4MATICに特化し、加えてAMG専用のエンジン、テクノロジー、装備品を採用しており、当然ながらそのぶん高価格となっている。
例えばCクラスの標準車モデルで高額なC350eアバンギャルドセダンが686万円に対し、AMG C43 4MATICセダンは、360度カメラシステムやワイヤレスチャージングを新標準装備し995万円と、標準モデルよりも309万円高額になっている。
まずエンジンを比較するとメルセデスAMGはハイパワーエンジンを搭載している。C350eアバンギャルド=DOHC直列4気筒ターボエンジン、1991cc、211ps/35.7kgf・m。AMG C43 4MATIC=DOHC V型6気筒ツインターボエンジン、2996cc、390ps/53.0kgf・m。
次にAMG専用テクノロジーではAMG 4MATICの4輪駆動、AMG RIDO CONTOROLスポーツサスペンション、A/TはAMGスピードシフトTCTを採用。ステアリング機構はAMGパラメーターステアリング、AMGエキゾーストシステムを採用。内装では本革ナッパレザーのスポーツシート、レザーARTICOダッシュボード、AMGパフォーマンスステアリング、ヘッドアップディスプレイ等が装備されている(各詳細は先述のとおりである)。
しかしAMGエンジンと同型式エンジンを搭載した標準車モデルもあり、比較してみる必要がある。例えば、EクラスのAMG E 53 4MATIC+セダンに搭載される3L DOHC直列6気筒ターボエンジンは、M256の型式(53系モデル)で、435ps/53.0kgf・mを発揮する。しかも同型式エンジンが標準車モデルのE450 4MATICエクスクルーシブセダンにも搭載されており、367ps/51.0kgf・mを発揮。先述のとおりライン製造した同型式エンジンをこのように両車に搭載しているとは言え、もちろん、このAMG E53 4MATIC+セダンの馬力やトルクは、標準モデルよりもハイパワーを発揮する。
Eクラスの標準車モデル、E450 4MATICエクスクルーシブセダンは1144万円に対し、AMG E53 4MATIC+セダンは1259万円で、115万円高額だ。この差額に収まっている主な理由は、AMG 53系エンジンがライン製造され、加えて同じ4MATICであり、AMG専用装備もかなりE450 4MATICイクスクルーシブセダンにも装備されているからだ。
内装ではAMGスポーツシート、AMGパフォーマンスステアリングが装備され、ほかのAMG専用装備は標準モデルのE450 4MATICエクスクルーシブセダンにも装備されている。
またAMG専用テクノロジーとしては、AMG RIDE CONTROL+エアサスペンション(AIR BODY CONTROL)、A/TはAMGスピードシフトTCT、ステアリング機構はAMGパラメーターステアリング、AMGダイナミックセレクトの採用に留まることも、115万円の価格差に収まっている理由といえる。
ちなみに標準車とAMGモデルとで車両価格に一番差があるのはAクラスで、ベースグレードのA180が367万円に対しメルセデスAMG A45 S 4MATIC+は807万円と、2倍以上もの価格差となっている。
50種以上のAMGモデルが揃う
今やメルセデスAMGの車種も多様化し、メルセデス・ベンツの標準車の新型販売と同時にその最上級モデルとしての選択が可能だ。日本国内におけるAMGモデルのラインナップは50種以上、エンジンの出力は306馬力から639馬力まである。車種は「ドライビング・パフォーマンス」をキーワードにセダン、クーペ、ステーションワゴン、カブリオレ、ロードスター、Gクラス、SUVのほか、メルセデスAMGが独自開発したメルセデスAMG GTもあり、搭載されるエンジンに応じて35、43、45、53、63、65、GTなど幅広いモデルを揃えている。
またAMG専用テクノロジーや装備品も装着し、厳選された高級本革ナッパレザーで内装を丹念に仕立て上げ、スポーツマインドを熱く駆り立てるカーボンファイバーインテリアトリムを採用し、高品質とアグレッシブな個性を引き出している。繰り返しになるが、特筆は創業以来One man-One engine(1人のマイスターがひとつのエンジンを)という哲学に従い、手作業で丹念に正確に組み上げ、1人の職人が一基のエンジンを最初から最後まで責任を持って組み上げている事である。従ってメルセデスAMGモデルはメルセデス・ベンツのサブブラントとはいえ、標準車モデルとは異なり、最上級グレードとして位置付けられている。