「コペンのタブー」に挑戦! 担当デザイナーも「会心の出来」と太鼓判
毎年年初に開催される日本最大の自動車アフターパーツの祭典「東京オートサロン」。今年はコロナウィルスの影響で開催が見送られたが、オンライン版「バーチャルオートサロン」なるものが公開されている。毎年ブース出展をしていたダイハツも、その中でデモカーを展示している。
前回は昨年登場した軽クロスオーバーモデル「タフト」をベースにした「クロスフィールドVer.」を紹介したが、今回はコペンがベースのコンセプトカー「スパイダーVer.」を紹介する。
コペン最大の「ストロングポイント」をあえて省くという選択
初代コペンが登場したのが2002年。軽自動車(市販車)初の電動開閉式ルーフを引っさげてデビュー。個人的にはその当時、「ソアラ(30系)と同等かそれよりも早く開きます」と説明された事が印象的だった。
そして2014年、現在のLA400系フルモデルチェンジ。「ローブ」「エクスプレイ」「セロ」「GRスポーツ」の4種を現在は展開中。
オートサロンという舞台を考えた時、スポーツカーテイストのデモカーは欲しいし、そもそもダイハツのマスコット的存在でもあるコペンは外せない。そこで丸目のレトロクラシック仕様である「セロ」をベースにして今回作ったのが「スパイダーVer.」である。
クラシックカー好きの方であれば、その姿を見て「オッ」と思われるだろう。モチーフにしたのは「ポルシェ356スピードスター」といった、1950年代のオートレースで華々しく活躍した車両。その中でも「フェラーリ166MM」や「アルファロメオ1900スポーツスパイダー」といった、イタリア車のそれをオマージュしたスタイリングに仕上げた。
同社は「オートサロン」や「モーターショー」におけるブースコンセプトとして「ダイハツヴィレッジ」という世界観を掲げてデモカーを作っている。その中でコペンの役割は「ヴィレッジの中の“風”や“いい景色”といった、街の“匂い”を楽しんで貰う」もの。言うなればクラシックカーが公道を走るレースに参加して、街中を走るようなイメージだという。
「ただ、そういった格式あるレースは参加車両も限定されていて、必然的に特別な人しか参加できない。でもコペンは軽自動車、庶民にとっては身近なクルマ。そういったレースにコペンが混ざっても違和感のないスタイルにできれば面白いな、と考えたんです。そしてクラシックカー好きの方が見ても喜んで貰えるような形、というのを考えたらこうなりました」。
そこで先に挙げた1950年代のクルマたち同様、フロントウインドウをメーターフード上あたりでカットし、アクリル板を使って再成型。これは前方投影面積を減らし、空気抵抗を減らすための意匠だという。さらにその上でコペンの屋根とその開閉に必要なモーター類も取り払った。
先述の通り、コペンは屋根の開け閉めが電動でできる、というのが他の軽オープンカーにはないポイント。それをあえて棄てたのは、2代目コペンの剛性にあるという。
「乗って頂くと分かりますが、現行コペンは剛性がしっかりしている。軽自動車だから“緩い”感じではありますが、だからこそオープンにして運転しても、安心だし楽しいんです。で、その考えをとことん突き詰めたら、もはや屋根すらなくていいんじゃないか、って思った(笑)。それで屋根ナシにしてフロントガラスまでカットしたら、トータルで100キロ近く軽くなり「ライトウェイト」にました。敷地内ですが移動がてら運転したら、スクリーンが低いのもあり、とても軽快に走っている感じでした」。
デモカーの担当者いわく「ある意味コペンのタブーに挑戦した」コペン・セロ。撮影中、ショールームの外から多くの通行人に写真を撮られていた光景を見て、このコンセプトカーの成功を感じた。