「超小型モビリティ」ブームは来るのか
高齢者や地域観光などの足として、超小型モビリティが話題になっている。何年も前からトヨタ、日産、ホンダなどは、実証実験をはじめ、自治体などと協力して利用実態を調査してきた。またトヨタは、2019年の東京モーターショーに超小型モビリティの電気自動車(EV)を出展。2020年12月から「C+pod(シーポッド)」という車名で、法人ユーザーや自治体などを対象に限定販売を開始している。
一方で他の自動車メーカーはもちろん、なかなか現実味のある導入の話が出てこない。これまで何年も実証実験を重ねながら、なぜ実用化の話が前進しないのだろうか。
急がれる「型式認定」
最大の理由は、型式認定を取得できる車両区分がないためだ。原付などの軽車両の次は、軽自動車の規格となってしまい、現在、開発や実証実験が進められている超小型モビリティの車体寸法や走行性能に当てはまる車両区分がないのである。昨年の東京モーターショーでトヨタが参考出品したことにより、国土交通省も動き出し、超小型モビリティを自動車メーカーなどが型式認定できる法整備が行なわれようとしているようだが、その実態はまだよくわからない。
では、これまでの実証実験などはどのように行なわれてきたかというと、用途や走行地域を限定した暫定的なナンバープレートが国土交通大臣から暫定的に交付されてきたのである。しかし使う目的を変更したり、走るコースを変更したり、自由にどこへでも走れるようにしたりすることができない。また、まったく同じ車両であっても、1台ごとに申請し、ナンバーの交付を受けなければならないため、手続きが導入台数分かかるわけだ。
それでは使い勝手が悪いし、当然ながら個人への販売はできない。トヨタも当面は法人などを中心としたリース形式でと考えたのも、国土交通省が進めていると想定される型式認定の内容が、多くの利用者が自由に使える法制案となっていないからではないか。