リアガラスに「YANASE」のステッカーがステータス
が、190Eやアウディ80もそうだが、ベンツ、VW、アウディがお嬢様系女子大生に不動の人気を誇ったのは、日本の老舗輸入車ディーラーの「ヤナセ」が取り扱っていたことが大きい。当時のヤナセのセールスに何人も学友、友人がいるのだが、みんな好青年のお坊ちゃま。
顧客の自宅にビシッとスーツでキメて、フラッと菓子折り持参でやってきて、奥様や娘さんと世間話をして帰る・・・・・・そんなセールスと顧客の強い絆、関係性もあった時代なのである。
だから、次のクルマも、当然、ヤナセである。上記のゴルフ・カブリオレに乗っていた女子大生も、始めてあったとき、「どんなクルマに乗っているの」と聞いたら、フォルクスワーゲン、ではなく、「ヤナセのクルマ」と奥ゆかしく答えたほどである。それぐらい、リヤウインドーに黄色いステッカーが貼られたヤナセで買った”正規輸入車”(当時は並行輸入車も多かった)のクルマにはステータスがあったというわけだ。
もちろん、当時、3代目となる911、964型ポルシェ911も絶大なる人気を誇っていたが、女子大生より上の年齢層の女子人気が主だったはずである(男子オーナーの年齢層が、190EやBMW3シリーズよりグーンと高かったせいもある)。
ちなみに、筆者は1985年からBMW325i、1987年からマセラティ・ビターボ、1990年からメルセデスベンツ300Eに乗っていたが、マセラティだけは周りの女子大生にまったくウケなかった。
理由は、マセラティという車名が、当時の彼女たちの脳内辞書に、まだ書き込まれていず、彼女たちが憧れるスリーポインテッドスターでもなくプロペラマークでもなく、フォーシルバーリングスでもなかったからである。