登場60周年の「還暦カラー」を纏った、スパルタンレーシー仕様
ここからはスタイリングを中心にご紹介。冒頭で述べたように、パッと見では軽トラと判別しづらくしている要因が、荷台の3面を囲む「あおり」部分。この意匠自体はスタイリング重視の結果だが、ドア部分とそれの高さを合わせた事により「車種不明感」が増しているのは確実。
その荷台部分、実用性とビジュアルの両立を兼ねて縞板風フロアに。よく考えてみれば「あおり」部分のかさ上げは積載量も増えるので、ビジュアルと作業効率の両立の理に適っている模様。
フロントはライトまわりこそハイゼットのままだが、ライト&グリル下からはワンオフ。ガンメタに塗り分けられたボトム部分はリブを作ってエッジを立て、奥行き感を演出。サイドに開けられたインテークはフロントブレーキの冷却効率を上げる狙いだという。
ホイールはレイズ製鍛造ホイール「ボルクレーシング TE37 KCR 2020」。そこにヨコハマの「A050(165/50−15in)」を合わせる。当然ながら農作業にはオーバースペックではあるが、もちろん週末のサーキット活動を意識した組み合わせである。 マフラーは大胆なビルトイン式の3連サイド出し。出口が3つなのは「3気筒のハイゼットに合わせた」というこだわり。
またリアはボトム部分にディフューザーを追加。マフラーがサイドに移設されているのもあり、その形状がより強調されている。
ところでホイールも含めてボディカラーは赤と白を主体にまとめられているが、昨年ハイゼットがデビューから60周年という事で「還暦祝い」も込めて。サイドに書かれたカーナンバーが「60」なのも同様の理由からだ。
室内はその赤と黒を主体にした配色。本来から必要最低限の装備に留めている質素な軽トラックのラゲッジを上手く活用し、色使いでレース車らしいスパルタンな印象に。ステアリングはモモ、シフトノブはDスポーツをチョイス。
シートもフルバケを2脚搭載、そこへサベルトの4点式ベルトを纏い、間に英国製「ファイアマスター社」のカーボン調車載用消火器を奢り、超本気の走り仕様にまとめている。
Auto Messe Webではダイハツがオートサロン用に仕立ててきたデモカー4台、タフト「クロスフィールドVer.」コペン「スパイダーVer.」ハイゼットトラック「キャンパーVer.」、そして今回のハイゼットトラック「スポルツァVer.」を紹介した。
どのモデルも掲げたコンセプトに合わせたアイデア満載の軽自動車。インタビュー最後、担当デザイナーにズバリ「一番のお気に入り」を聞くと、今回紹介した「スポルツァVer.」と即答。
「よく出来たな、と思うのはスパイダー(コペン)。でも一番のお気に入りはラグナ青果(スポルツァ)ですね。というのもこのスタイリングに至った背景に、かつてボクが大黒パーキングで見たスーパーカーがあります。その姿に衝撃を受けて“いつか自分でも作りたい”と思った。そのオマージュというのも密かにあります」。
最後にショーネームにちなんでラグナ・セカサーキットで走る予定は? と尋ねたところ「残念ながらない」とこちらも即答だった。「でも本当はSEMAショー(東京オートサロンの何倍もの規模を誇る、アメリカの自動車ショー)に持っていきたい。軽トラはいま海外で注目されているし、絶対にウケる自信はあるんです(笑)」。