秒差を争うラリー競技にはもってこいのドグミッション
ドグミッションは、市販乗用車に採用されることはまずない。定期的なメンテナンスも必要なため、費用も莫大であるので、マイカーを購入する際に選択することもないし、そもそも一般的に使用する機会はないだろう。しかし、これがコンマ何秒を削って勝敗が決まるコンペティティブな世界では重要なアイテムとなる。 そういう技術が求められることもあって、今回は試走に奴田原文雄選手が参加した。奴田原選手は国内外で活躍するトップラリーストで、現在奴田原選手が全日本ラリー選手権で使用している三菱ランサーエボリューションXもHパターンのドグミッションを組み込んでいる。「ラリーは左足ブレーキで、そのままシフトダウンってことがあるんで、ドグは有効なんですよ」とドグミッションの重要性を語っていた奴田原選手は、今回試走の場として選ばれた筑波サーキットのコース2000を数周。そして降りてきてひと言。「ギヤの入りはいいし、なんといっても音が静か!」とは、初めて乗った繁原製作所のドグミッションを高評価。
今回マシンのテストを行ったウエルマーは、すでに3種類のクロスレシオを用意。そのいずれもドグ構造のミッションだけでなく、シンクロ構造のものもラインナップしている。すでにモータースポーツシーズン開幕に向けGRヤリスで参戦することを発表するチームも出てきている。このドグミッションがレースの現場で採用されていくだろう。