生来よりもライバル関係に置かれるランエボよりも戦闘マシンだった!
初代モデルから続いていたライバルといえば言わずと知れた三菱ランサーエボリューション。2009年10月にマイナーチェンジを実施したランサーエボリューションXは、ツインクラッチ式の6速セミATと5速MTを設定。
3ペダル6速MTのみのインプレッサシリーズより一歩先進的なミッションを搭載していたが、スポーツモデル派からはWRX STIの6速3ペダルの人気が高かった。2010年モデルのエボXは樹脂製のエンジンヘッドカバーなど約1.5 kgの軽量化などが行われたが、6速のツインクラッチSSTを採用したエボXは1550kgとR205よりも重量があった。ただし、軽量モデルのRSエボリューションの5MTは車両重量が1420kgとR205のベースモデルであるスペックCより30kgほど軽量だった。
最高出力はマイナーチェンジで最高出力300PS/6500 rpmへ向上。最大トルクは43.0kg-m/3500rpmのままとなったが、320ps/6400rpm、44.0kgm/4000rpmを誇るR205には及ばず、ベースモデルのスペックCと比較しても最大トルクこそ同一で低回転から最大トルクを発生させながら、最高出力は8馬力ほどインプレッサにリードを許していた。
実際にR205のステアリングを握ると、まずはその圧倒的なパワーとトルクに余裕を感じる。SIドライブの最もマイルドな「Iモード」にセレクトしていても一度アクセルを踏み込めば、どの速度域からでも力強い加速感を得られる。
また、専用マフラーが奏でるサウンドもまた気分を高揚させてくれる。そして、STIが手掛けた足回りはドライバーの意のままにラインをトレースし、リヤのオーバーハングの少ない5ドアボディならではの軽快な走りのおかげでワインディングやストリートといった低い速度域でも気持ちがいい。
もちろん、しなやかな乗り心地で決してスパルタンすぎる印象ではないが、軽快感と余裕の走りが織りなす気持ちよさは、Sシリーズのプレミアムスポーツとはまた違ったフィーリングで道を究める“R”の意味合いを感じることができるのだ。
エボXが程度の良いもので200万円台中盤のプライスをつける中、R205はSTIコンプリートカーという事もあり300万円台後半。コンプリートカーとの比較なので、新車価格や年式、走行距離を考えるとランエボがかなり健闘しているといえるだろう。
R205は元々が400台限定という事もあるが、流通量が圧倒的に少なく中古車サイトには2021年1月現在でわずか8台! まだ現実的な価格で流通する205を、今だからこそぜひ手に入れておきたい1台だ。