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わずか400台の希少性! 「R205」という珠玉のSTIコンプリートモデルの驚くべき中身

限定車をベースとしたコンプリートカー

 R205はSTIのコンプリートカーシリーズで唯一“R”の称号を持つコンプリートカーだ。2010年に400台限定で発売されたモデルで、“R“のバッジはレーシングではなく「ロードスポーツ」の意味がこめられていた。サーキットはもちろん、実用速度域の公道でも最高のパフォーマンスを楽しめるクルマとして仕立てられている。

 GRB型インプレッサWRX STIは、ニュルブルクリンク24時間耐久レースにSUBARU NBRチャレンジとして参戦。2008年、2009年はクラス5位を獲得している。このNBRチャレンジで培ったテクノロジーを惜しみなくフィードバックしたモデルがR205である。

 ベースとなるのはGRB型3代目インプレッサWRX STIスペックC(前期型)で、R205と同じ2009年に登場したモデル。競技車両ベースという位置づけながら、2代目GDB型インプレッサ WRX STIスペックCと比べると、快適装備が充実しているものの、アルミ製ボンネットフードや小型バッテリー、専用軽量ホイール、インタークーラーウォータースプレー、ツインスクロールボールベアリングターボ、専用スタビライザーなど軽量化をはじめとした走りを磨く専用装備を多数採用していた。

 じつは意外と知られていないのが、この前期型WRX STIスペックCも1000台限定モデル(一般向け販売は900台)。つまりR205は限定車をベースとしたコンプリートカーなのである。

ワインディングで軽快な走りを楽しめる

 スペックCをベースにR205はエクステリアこそフロントアンダースポイラー、リヤアンダースポイラー、ブラック塗装大型ルーフスポイラー、専用フロントグリル、専用サイドガーニッシュ、18インチ鋳造アルミホイールとSTIコンプリートカーとしては控えめな印象。クルマ好きでなければベースのGRB型WRX STIと見分けるのが難しいほどだ。

 しかし、そんな控えめなエクステリアとは裏腹に、専用チューニングECUや専用エキゾーストパイプなどの専用装備を惜しみなく投入することで、最高出力320馬力、最大トルク431N・mを実現。

 もちろんそれを受け止めるブレーキにはフロントにブレンボ製モノブロック対向6ポットブレーキキャリパーに18インチ2ピースタイプ・グルーブドディスクローター、リヤにはブレンボ製モノブロック対向4ポットブレーキキャリパーに18インチグルーブドディスクローターを採用。

 足回りは専用STI製倒立式フロントストラット&スプリング、専用STI製リヤダンパー&スプリング、専用チューニング・フロントスタビライザー。そしてSTIコンプリートカーではお馴染みのフレキシブルタワーバー、フレキシブルドロースティフナー、フレキシブルサポート・リヤなども採用しシャシー性能も向上。しっかりと止まる、曲がるの性能も追及している。

 R205以降、ワゴンやSUVを除いたピュアなスポーツモデルの5ドアコンプリートカーは存在せず、純粋にワインディングで軽快な走りを楽しめるコンプリートカーだ。さらに、現時点ではベースとなった軽量競技向けモデルのスペックCはGRB型、GVB型が最後となり、5ドアモデルのR205と4ドアモデルのWRX STI tS TYPE RAだけであり、5ドアスペックCベース唯一のコンプリートカーとして貴重な存在だ。

生来よりもライバル関係に置かれるランエボよりも戦闘マシンだった!

 初代モデルから続いていたライバルといえば言わずと知れた三菱ランサーエボリューション。2009年10月にマイナーチェンジを実施したランサーエボリューションXは、ツインクラッチ式の6速セミATと5速MTを設定。

 3ペダル6速MTのみのインプレッサシリーズより一歩先進的なミッションを搭載していたが、スポーツモデル派からはWRX STIの6速3ペダルの人気が高かった。2010年モデルのエボXは樹脂製のエンジンヘッドカバーなど約1.5 kgの軽量化などが行われたが、6速のツインクラッチSSTを採用したエボXは1550kgとR205よりも重量があった。ただし、軽量モデルのRSエボリューションの5MTは車両重量が1420kgとR205のベースモデルであるスペックCより30kgほど軽量だった。

 最高出力はマイナーチェンジで最高出力300PS/6500 rpmへ向上。最大トルクは43.0kg-m/3500rpmのままとなったが、320ps/6400rpm、44.0kgm/4000rpmを誇るR205には及ばず、ベースモデルのスペックCと比較しても最大トルクこそ同一で低回転から最大トルクを発生させながら、最高出力は8馬力ほどインプレッサにリードを許していた。

 実際にR205のステアリングを握ると、まずはその圧倒的なパワーとトルクに余裕を感じる。SIドライブの最もマイルドな「Iモード」にセレクトしていても一度アクセルを踏み込めば、どの速度域からでも力強い加速感を得られる。

 また、専用マフラーが奏でるサウンドもまた気分を高揚させてくれる。そして、STIが手掛けた足回りはドライバーの意のままにラインをトレースし、リヤのオーバーハングの少ない5ドアボディならではの軽快な走りのおかげでワインディングやストリートといった低い速度域でも気持ちがいい。

 もちろん、しなやかな乗り心地で決してスパルタンすぎる印象ではないが、軽快感と余裕の走りが織りなす気持ちよさは、Sシリーズのプレミアムスポーツとはまた違ったフィーリングで道を究める“R”の意味合いを感じることができるのだ。

 エボXが程度の良いもので200万円台中盤のプライスをつける中、R205はSTIコンプリートカーという事もあり300万円台後半。コンプリートカーとの比較なので、新車価格や年式、走行距離を考えるとランエボがかなり健闘しているといえるだろう。

 R205は元々が400台限定という事もあるが、流通量が圧倒的に少なく中古車サイトには2021年1月現在でわずか8台! まだ現実的な価格で流通する205を、今だからこそぜひ手に入れておきたい1台だ。

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