世界最高峰ラリーだが参戦門戸はみんなに開かれているWRC
2010年以来、11年ぶりに世界ラリー選手権(WRC)の日本ラウンド「ラリー・ジャパン」が開催される予定だ。また日本メーカーのトヨタGAZOOレーシングが活躍していることから、日本でも注目度が高まりつつあるWRC。文字どおり、ラリー競技の最高峰シリーズであり、F1やWEC(世界耐久選手権)と並ぶFIAの世界選手権だ。そんなWRCだが、アマチュアドライバーでも参戦できることをご存知だろうか?
世界選手権とはいえ、WRCは条件さえ満たせば誰でも参戦可能で、各メーカーのワークスドライバーと同じフィールドで戦える、夢のあるカテゴリーとなっているのだ。F1はチーム数によるドライバーズシートが限られているが、公道を使ったラリーは自分のナンバー付き競技車両で世界トップのドライバーたちと同じ場所で競えるのである。
とはいえ、WRCに参戦するためには、ハード面(マシンや装備品)やソフト面(ライセンス、コドライバーやメカニック)など、クリアしなければならないハードルがあることも事実である。そして、その第一歩となるのが、やはりライセンスだといえるだろう。
そこで今回を含め計4回に分けて、WRC参戦のためのステップアップ方法を紹介していくことにする。
まずはライセンスを取得しよう
ライセンスは競技に参戦するために必要不可欠なアイテムで、WRCには「国際Rライセンス」以上が必要となるが、いきなり国際Rライセンスを取得することはできない。競技実績に応じてライセンスも昇級していくシステムとなっている。ちなみにFIA、JAFが主催者団体であるモータースポーツ競技への参加資格は各種ライセンスで区分けされており、国内B級、国内A級、国際R級、国際C級、国際B級、国際A級、スーパーライセンスがある。
モータースポーツのビギナーが日本で競技をするために最初に取得するライセンスが、JAFが発給する「国内B級ライセンス(以下Bライ)」だ。このBライの取得条件は、運転免許証の所持者かつJAFの個人会員で、国内Bライの講習会に参加するだけで取得可能。講習会の内容も国内競技規則や国内競技車両規則の説明で、とくに試験もないことから誰でも国内Bを取得することができることだろう。
講習会の受講料は5000円前後で、ライセンスの申請料も3000円前後とリーズナブル。現在は新型コロナウイルスの影響により、WEB講習会が主流となっていることから気軽に参加可能だ。
またライセンスが不要なモータースポーツ競技「オートテスト」に参加しても国内Bは取得可能で、こちらはゲーム感覚でライセンスを取得できるようになっている。
ビギナーでいきなり全日本選手権もありうる
国内Bを取得すればラリー、ジムカーナ、ダートトライアル、サーキットトライアルなどのJAF公認競技に参戦可能となる。しかも、ルール的には地方選手権はもちろんのこと、いきなり、全日本選手権にも参戦できることから、ラリーに関してもビギナーとはいえ新井敏弘や新井大輝、奴田原文雄らチャンピオン経験者と同じフィールドにチャレンジできるわけだ。ラリー競技の親密性とも言えるだろう。
だが、マシンにもそれなりの準備が必要なうえ、完走するだけでも高いスキルが求められることから、やはり、地方のラリークラブが主催する練習会やクローズド競技、さらに地方競技、準国内競技などのビギナーを対象にしたカテゴリーから経験を重ねていったほうがベターだろう。
いずれにしても国内Bを取得したら、とにかく経験を重ねたいところだが、競技に参戦するためにはマシンや装備などの準備が必要となってくる。その辺りの詳細については、次の機会に解説したい。