火気の取り扱いに注意して安全で楽しいキャンプを
アウトドアブームの近年、仲間や家族でキャンプに出かける読者も多いだろう。しかし普段とは違う野外での生活には意外な危険が潜んでいるもの。とくに調理や焚き火で“火”を使うことも多いキャンプでは火気の取り扱いに注意したい。電気調理器具などに慣れてしまっている現代人は、火気の取り扱い次第では思わぬ事故を招きかねないので、キャンプに行く前に正しい知識と火の危険性を認識しておくと良いだろう。
そこで今回は「キャンプにおける火の取り扱い方」について、日本キャンプ協会にレクチャーしてもらった。お話しをうかがったのは事務局の高橋サン。キャンプで火を使う場合にはどんな危険性があるのか。また、それを未然に防ぐにはどんな心構えが大切なのかを教えてもらった。
身近な火の危険性
そもそもキャンプでは火を使うケースが多い。調理する場合にはガスコンロやガソリンストーブを使うだろう。またランタンもガス式やガソリン式のものもあり、自宅のようにスイッチひとつで明かりが点く環境とは異なる。もちろんそれがキャンプの醍醐味でもあり楽しみなので、うまく利用して付き合っていくと良いだろう。
最初に注意しておきたいのは火を扱っているときにテントやタープ、または衣服に引火してしまう危険性について。実際にそのような危険性があるのかについて、既出の高橋サンに尋ねてみた。
「衣服への引火は、あまり考えられない事例だと思います。しかし服の上からでも火傷の怖れはあります。バーベキューなどで火をおこしているときに火の粉が舞って衣服に付着することはあります。化学繊維のウインドブレーカーや薄手のアウターなどを溶かしてしまうことも考えられ、これが火傷にもつながる可能性があります。対策としては長袖のインナーを着ておくことで火傷を防ぐことができるでしょう」。
また、調理の際に度々用いることになる軍手にも注意したいという。
「アウトドアでの炊飯時には軍手を使うことも多いと思います。しかし軍手には耐熱性に差があるので、熱い鍋などを触る際には耐熱性の高い革手袋などを用いると良いでしょう。滑り止めの付いた軍手は熱で溶けてしまい、火傷につながる危険性もあるので注意してください」。
さらにテントやタープも火には要注意だ。いずれも化学繊維でできた比較的燃えやすい素材といえるので、ガスやガソリン、炭などを使って調理をしているときには要意だ。
「テントは燃えやすい素材でできている場合が多いので、テント内で火を使うことは絶対に避けてください。もともとテント内は火気厳禁です。このことは多くのアウトドア用品の販売店で注意喚起されていると思いますが、いま一度徹底して欲しいところです。テント内が火気厳禁の理由は明確で、テントの中でガスコンロなどを使って調理するとテントに火が燃え移ってしまうことが考えられるからです。またテントを締めきって火気を使っていると一酸化炭素中毒の危険性もあるので、テント内で火気を使わないことは鉄則です」。