子供は特に注意
次にファミリーキャンプで特に気をつけたいのが子供の行動だ。キャンプに出かけたことで喜んだ子供がキャンプサイトのまわりで走り回るシーンはよく見られるが、火気を使っている最中のコンロやグリルにぶつかってしまうと大やけどの危険がある。普段とは違う環境にあり、十分に火気に注意することを事前に子供達へしっかり教えておく必要があるという。
「家庭ではIH調理器具に慣れてしまっていることで、火に対する危険を感じない子供も増えています。大人が想像できないような大事故を起こす可能性も十分にあるのです。例えば大鍋を使ってスープなどを作っているとき、うっかり鍋をひっくり返し子供が熱いスープを被ってしまうと、広い範囲に火傷を負う事になりかねません。命に関わる可能性も考えられます。そういった知識を親や引率者が把握して子供達に対する対策を講じておく必要があるでしょう」。(日本キャンプ協会・高橋サン)
誤った使用方法は死亡事故にも繋がる
キャンプ用品の使い方を誤ったことから事故を起こすケースも見られる。はじめてキャンプ用品を使う場合には説明書をよく読み、安全な利用方法を心がけてほしい。実際に起こった事例としてはカセットガスを使ったガスコンロをキャンプ場で使っていたところ、ガス漏れをしていることに気づかず着火したとたんに火災が起こり、カセットボンベまで爆発する事故につながったというケースがある。過去には同様の事故で死者が出たこともある。ガスなどの取り扱いには十分気をつけたい。
「過去の事故例を知っておくことも大切です。キャンプで利用するガスコンロなどが使い方を誤るとどの程度危険なのかを知っておいてください。その上で自分はそうならないために安全な使い方を徹底すること重要なのです」。(日本キャンプ協会・高橋サン)
またバーベキューなどで火起こしをする場合に用いることがあるガス・トーチバーナー。カセットガスを使うタイプで手軽に使えるのだが、誤って逆さまに向けて使うと火が大きくなってしまうこともある。火起こし中にうっかりトーチバーナを逆さまに向けて使ってしまうことのないように、事前に正しい利用方法を認識しておこう。
同様に木炭などの火起こしに用いる着火剤も危険性をはらんでいる。火の起こりが弱いと思い途中で着火剤を追加するのは危険。すでに点火している木炭などに着火剤をつぎ足すと大きく炎が燃え上がることがあり危険なのだ。
直火のたき火が可能なキャンプ場ではたき火の後始末も徹底したい。最後は水を掛けるなどして完全に消化しておこう。消えたつもりになっていても、 熾火(おきび)が残っていて就寝後に燃え上がったという事例もある。テントやタープが近くにあると燃え移る危険もあるので、たき火の後は念入りに消化しておくことも忘れずに。
知識を持ち危険性を認識することが大切
このように普段の生活とは異なるキャンプは、日常にはない開放感を味わえる反面さまざまな危険が伴うことを頭に入れておきたい。特に火を使うシーンは十分に気をつけよう。器具の安全な使い方や火気を扱うルールを知っていれば安全に楽しめるものなので、あらかじめ火気に対する知識を持ち、危険性を十分認識した上でキャンプに挑んでほしい。