大事なのは安全に帰れるかどうか
クルマに負担のかかるサーキット走行。走る前のメンテナンスには気を使う人が多いけど、走行後のチェックになると、走りきった充実感でつい忘れがち。トラブルに繋がりかねない予兆を見逃さず、安全にモータースポーツを楽しみたい。
走行後はタイヤの傷や空気圧をチェック
まずは地面と接している唯一の部分、タイヤの確認すべきポイントについて。誰でも思い付くし分かりやすいのは残量だが、異物を噛み込んでいたり刺さったりしていないか、サイドウォールに傷がないかも忘れずにチェックしたい。
特にコースアウトしたときは車両にダメージがないと感じても、一度ピットに戻ってタイヤや足まわりを点検するのがマナーであり、自分だけでなく他人をトラブルに巻き込まないことにも繋がる。さらにすべての走行を終えたら空気圧の再調整も必須だ。
サーキット専用のタイヤを使うなら話は別だが、多くの人は普段乗りも同じタイヤ。そのため走行の直前にサーキット仕様にすべく、空気圧を多少なりとも下げているはず。一般道ではサーキットのように空気圧が上がらないので、帰る前にメーカー指定の数値に戻しておくのが望ましい。空気圧が低すぎると乗り心地や燃費の悪化、ロードノイズが大きいなどの弊害があるので要注意。
ブレーキはパッドの残量と熱に注意
次はブレーキまわりのチェック項目を説明しよう。目で見て分かりやすいのはパッドの残量で、極端に減っていれば走行時間が余っていようと、安全のために終了する勇気も必要と覚えておきたい。
またローターもパッドと同様に摩擦で減る消耗品であり、「ヒートクラック」と呼ばれる熱による亀裂が入ることも。ホースはステアリングを切ったとき足まわりと干渉していないか、タイヤと同じくコースアウトしたときは砂利などで傷が付いていないかを必ず確認する。さらにボンネットを開けてフルードの量は適正か、汚れが酷くないかまでチェックすれば完璧だ。
エンジンオイルは走行枠ごとにチェック
大きなクラッシュに直結するとまではいかないが、金銭的に大ダメージを負う確率が高いのは油脂類。特にエンジンオイルは様々な要因で減ることがあり、できれば走行枠ひとつごとに量をチェックしておきたいほど。
オイルパンの形状やストレーナーの位置によっては、コーナリング中に車体が傾くとオイルが規定量を満たしていても、正常に循環せず最悪の場合はエンジンブローする可能性がある。心配ならプロショップに車種や仕様、走るコースを伝え必要に応じて対策してもらうべし。
他にはターボ車ならインタークーラーのパイピングが緩んでいないか、エアロや灯火類が割れて街乗りに支障がある状態じゃないか、オイルやラジエーターの冷却水が漏れていないかも見ておく。
最後に走行後しばらくエンジンをかけっぱなしにする、アフターアイドルまたはアフターアイドリングの必要性について。現在は街乗りレベルならターボ車でも無意味といわれるが、高回転域を使い続け温度も相当に高くなるサーキット走行後は、ボンネットを開けつつ数分間のアフターアイドルを実施したほうが安全だ。
当然ながらピットインする前のクールダウンが必要で、エンジンだけじゃなくブレーキなども冷やしつつピットに戻りたい。いずれも大した時間がかからずお金もかからないことばかり。わずかな手間を惜しんで事故やトラブルを招かないよう注意!