高音質の追求(1990年代〜)
CDの爆発的な普及から90年代のカーオーディオはCD一色となる。さらに複数のCDを聞くためにCDチェンジャーも普及する。“○連装”など利用できるCDの数の多さもポイントになった。
また、特に2DINのオーディオではそのフェイスパネルの大きさを生かしてグラフィックイコライザーなどの派手な演出も流行る。車内の特等席であるダッシュ中央に煌びやかなイルミが光り輝くユニットを求めるユーザーも多かった時代だ。
一方では1990年代から2000年初頭にハイエンドなオーディオが各社から登場することになる。一般的なオーディオデッキのように内蔵アンプをあえて持たず、外部アンプを加えたシステムを構築するなど徹底して高音質を求めたのが特徴。
ユニットのクオリティもハイレベルで、各社が音質を競った。カロッツェリアXを筆頭に、アルパインのF#1、富士通テン(現在のデンソーテン)のサウンドモニター、老舗のナカミチなども高級路線を推し進めたメーカーだった。ホームオーディオからもDENONなどのブランド参入などもありカーオーディオの高級化が進んだ時代でもあった。
「AVN」の登場(1990年代後半〜)
さらにカーオーディオの業界を大きく変えるのがカーナビの登場だ。1990年にパイオニアが世界初の市販GPSカーナビゲーションをリリース。当初はナビ機能のみを備えた機器だったのだが、徐々にコンパクト化&多機能化が進む。
1990年代後期から2000年頃になるとAVN(オーディオビジュアルナビ)と呼ばれる2DINサイズにナビに加えてオーディオ機能、ビジュアル機能をオールインワンしたモデルが主流になる。多くのユーザーが新車購入時にカーナビとAV機能が一体化したユニットを取り付けるようになり、ここにオールインワン化が一般化していく。
メディアの多様化とスマホ時代(2010年代〜)
そんなカーオーディオのもうひとつのトピックはインターフェイスの多様化だ。CDやMDを用いていた頃から進化し、今ではUSBやSDカードなどのメディア、さらにはBluetoothを使った無線接続も一般化した。スマホとの無線接続も簡単でクルマに乗り込めば自動的にペアリングして、音楽再生はもちろんハンズフリー電話も利用できる環境が整っている。
すでにCDなどの回転系のメカを持たないオーディオ機器も登場している現代。今後はメモリーを使ったオーディオに移行していくのは間違いなさそうだ。またディスプレイオーディオのようにスマホに機能の多くを負わせるというシステムも多くなっている。自動運転をにらんだ車内エンタメの世界がどのように進化して行くのか、これからの各メーカーの動向が楽しみだ。