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「光るスピーカー」に「10連奏CDチェンジャー」! 昭和オヤジの青春を支えたカーオーディオの歴史

カーオーディオの歴史はクルマ文化の歴史

 車内のエンターテインメント性能は年々アップしている。さらに近い将来、自動運転が進化するとさらにエンタメ性能が重視されてくると言われている。そんな車内エンタメのセンターユニットとして長らく主役を張っているのがカーオーディオだろう。今回はその歴史を振り返ってみたい。

「DIN」規格の普及(1980年代前半〜)

 近代のカーオーディオを見るとき、ひとつのターニングポイントになっているのはDIN規格の普及だ。そんなDIN規格(ドイツ工業規格)がカーオーディオのヘッドユニットのサイズを規格したのがそのそもの始まりだ。

 1984年には国際標準規格ISOとして採用され、瞬く間に世界のクルマのダッシュボードに採用されてくことになる。1DINや2DINといった呼び名で、ダッシュボードにビルトインするオーディオサイズが決められているので、互換性もあり、数多くのユニット中から好みの一台を選んで取り付けることができるのは大きな魅力だろう。

 現在の多くのクルマはDIN規格のサイズでダッシュのオーディオ/ナビのサイズが決められている(一部のメーカーでは独自サイズを採用しているケースもある)。

 オールドファンなら知っているだろうが、DINサイズが規格化される前のオーディオはメーカーやモデルごとにバラバラで、取り付け位置もダッシュボードの下部に吊り下げるなど、それぞれケースバイケースの取り付けを実施していた時代があった。しかし80年代にDINが浸透すると、ダッシュまわりのスマートさは急激に進化していく。

 当時のヘッドユニットで使用する音楽メディアはカセットテープが主流。自宅でレコードから好みの曲をカセットテープに録音し車内に持ち込んでいた往年のユーザーもいるだろう。

 また今では考えられないが、当時のスピーカーの主流はリアトレーへの設置だった。ドアスピーカーが普及する前は、車内スピーカーの設置場所はリアトレーがメインだったのだ。イルミを内蔵したリアスピーカーがリアウインドウ越しにリアビューを飾るのも当時ならではだった。

カセットからCDへ(1980年代後半〜)

 進化を続けるカーオーディオの世界。80年代後半からはカーオーディオにもデジタルの時代がやってくる。再生メディアにCDが採用されはじめるのだ。1987年にはカロッツェリアが世界初となる1DINサイズで、内蔵のカセットプレイヤーに加えて外部に設置するCDチェンジャーをコントロールできるデッキを登場させた。

 間もなくすると1DINサイズのCDデッキも続々と登場し、瞬く間にカーオーディオに置ける音楽メディアとしてCDが主役の座に着くことになる。理由のひとつはCDが扱いやすかったため。カセットテープのように聞きたい曲を探すのに早送り/巻き戻しなどは必要とせず、簡単に曲送り/戻しが可能となったのも要因だった。

 ちなみにカセットからCDへの移行期にはトランスミッターやカセットアダプター(カセット型のアダプターにCDプレーヤーを接続するユニット)と呼ばれる、カセットデッキでCDプレイヤーを聞ける簡易的な変換システムも普及する。CDを車内で聞きたいというユーザーのニーズに応えたのも時代と言えるだろう。

高音質の追求(1990年代〜)

 CDの爆発的な普及から90年代のカーオーディオはCD一色となる。さらに複数のCDを聞くためにCDチェンジャーも普及する。“○連装”など利用できるCDの数の多さもポイントになった。

 また、特に2DINのオーディオではそのフェイスパネルの大きさを生かしてグラフィックイコライザーなどの派手な演出も流行る。車内の特等席であるダッシュ中央に煌びやかなイルミが光り輝くユニットを求めるユーザーも多かった時代だ。

 一方では1990年代から2000年初頭にハイエンドなオーディオが各社から登場することになる。一般的なオーディオデッキのように内蔵アンプをあえて持たず、外部アンプを加えたシステムを構築するなど徹底して高音質を求めたのが特徴。

 ユニットのクオリティもハイレベルで、各社が音質を競った。カロッツェリアXを筆頭に、アルパインのF#1、富士通テン(現在のデンソーテン)のサウンドモニター、老舗のナカミチなども高級路線を推し進めたメーカーだった。ホームオーディオからもDENONなどのブランド参入などもありカーオーディオの高級化が進んだ時代でもあった。

「AVN」の登場(1990年代後半〜)

 さらにカーオーディオの業界を大きく変えるのがカーナビの登場だ。1990年にパイオニアが世界初の市販GPSカーナビゲーションをリリース。当初はナビ機能のみを備えた機器だったのだが、徐々にコンパクト化&多機能化が進む。

 1990年代後期から2000年頃になるとAVN(オーディオビジュアルナビ)と呼ばれる2DINサイズにナビに加えてオーディオ機能、ビジュアル機能をオールインワンしたモデルが主流になる。多くのユーザーが新車購入時にカーナビとAV機能が一体化したユニットを取り付けるようになり、ここにオールインワン化が一般化していく。

メディアの多様化とスマホ時代(2010年代〜)

 そんなカーオーディオのもうひとつのトピックはインターフェイスの多様化だ。CDやMDを用いていた頃から進化し、今ではUSBやSDカードなどのメディア、さらにはBluetoothを使った無線接続も一般化した。スマホとの無線接続も簡単でクルマに乗り込めば自動的にペアリングして、音楽再生はもちろんハンズフリー電話も利用できる環境が整っている。

 すでにCDなどの回転系のメカを持たないオーディオ機器も登場している現代。今後はメモリーを使ったオーディオに移行していくのは間違いなさそうだ。またディスプレイオーディオのようにスマホに機能の多くを負わせるというシステムも多くなっている。自動運転をにらんだ車内エンタメの世界がどのように進化して行くのか、これからの各メーカーの動向が楽しみだ。

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