ボンネットを軽量化した際、走行中の風圧に負けて開かないように
ツーリングカーレースの最高峰、スーパーGTのマシンにも取り付けられている「ボンネットピン(通称ボンピン)」。一切の無駄がないように製作されているレーシングカーに装備されているぐらいなので、カッコイイだけでついているとは想像しにくい。
そこで今回は、ボンネットピンをつける意味とは何なのだろうか? そして、ボンネットピンの種類や取り付け方法などを調べてみた。一般道を走行する車両につける場合に、気をつけるべきことなども合わせてお伝えしていく。
走行中に軽量ボンネットが開いたら大変!!
走り屋の「神器」的アイテムとひとつとして人気のカーボンボンネット。一番有名なカーボンボンネットと言えば、某とうふ店のハチロクかもしれない。ボンネットが黒くなったスパルタンなルックスが印象的なことから、ドレスアップアイテムとしても定番だ。そのカーボンボンネットだが、スポーツカーのみならず、ミニバン&ワゴン、ハイエースや軽トラ用まで販売されているのはクルマ好きならすでにご存知の通りだ。
今回はボンネットピンがテーマではあるが、そもそものハナシとして、軽量ボンネットとボンネットピンはセットで説明したほうが分かりやすい。カーボンボンネットとはその名の通り、軽量化されたカーボン製ボンネットのこと。他にFRP製品などがあるが、軽量ボンネットに交換する理由は、多くのスチール製純正ボンネットから素材を置換することでボンネットの重量を軽くし、ハンドリングの向上を図ることが本質的なねらいだ。
それから、純正ボンネットがどのように車体と取り付けられているかというと、一般的には奥側は可動式のヒンジにボルト留めされていて、手前(ノーズ側)は、ボンネット側のキャッチ(アームやフック)を車体側のストライカーがガチッと掴んで固定している仕組み。
ボンネットピンとはこのノーズ側(※ボンネットが逆に開くタイプなら前後が逆)のキャッチとストライカーの役目を別の方法(後述)で担うものである。純正のキャッチ&ストライカーよりも理論上は単純な仕組みだが、ボンネットに穴をあける加工が必要だったりと、純正の機能としては採用されにくいといえるだろう。
なぜボンネットピンがいるのかというと、その軽量ボンネットのため。ボンネットが純正よりも軽くなった分、風圧でボンネットが持ち上がりやすくなり、さらには、軽量化に伴い強度が落ちてしまうこともあって、スチールボンネットなら考えにくいが、FRP製品ではキャッチがボンネットからちぎれる可能性があるからだ。うん百km/hと速度の出るレーシングカーならなおさらというワケだ。
走行中ボンネットからキャッチがはずれると、大変なことになるのはご想像の通りだ。ボンネットがめくれ上がってフロントガラスを叩き割り、ドライバーからは前がまったく見えなくなるのだ。YouTubeの「おもしろ動画」などでもたまに見かけるシーンだが、もちろん、すべてがこれの原因ではない(単純にボンネットの閉め忘れでも起こることだが……)、とにかく超危険だ。