イマイチ分からないからこそ心配になる「電気の問題」
政府の「2050年カーボンニュートラル」実現に向けて昨年打ち出された、2030年代までにガソリン車の新車販売ゼロを目指す、という動き。今後ますますEV車に注目が集まる事は避けられないだろう。ところでいま、キャンプが大ブームである。キャンプには基本車が必要だが、EVでキャンプはできるのか? 給電はどうするのか? そのあたりをその道の第一人者に解説してもらった。
ズバリ「電気自動車でキャンプ」はアリかナシか
都会から離れた郊外でのキャンプなどアウトドアの休暇を過ごすのに、電気自動車(EV)は適切なのかと心配する人もあるようだ。電動化を経営の柱の一つとする三菱自動車工業は、これまで「スターキャンプ」と呼ぶオートキャンプのイベントを毎年のように開催してきた。
グランピングのように楽に、贅沢に、アウトドア気分を味わうことも登場し、自然を容易に楽しむうえでは、電気を有効活用するのも一つの楽しみ方だ。外でエンジンの発電機がうるさく回り、臭い排ガスを出すのは雰囲気を壊す。EVで行き、その電力を使えば自然を壊さず、雰囲気も壊さない。
充電は「いつ・どこで」するのがいい?
具体的にEVでキャンプへ行くとどうなるのか? 300km~400kmあるいはそれ以上の一充電走行距離性能を持つEVは、車載のリチウムイオンバッテリーが3~4日分の家庭での電力消費を賄うことができるといわれている。10年前の初代リーフでも、1~2日分の電力を賄えていた。
そこから計算すれば、自宅より消費電力が少ないと思われるキャンプ場での日々に、EVの電力は十分間に合うといえるだろう。もちろん、キャンプ場に到着する前に充電しておけばいっそう安心だ。
またオートキャンプ場には、キャンピングカーが車内で電気を使えるようなコンセントが設けられているところもある。未開の地へ行くなら別だが、国内であれば人里離れた場所というのはあまりなく、それほど遠くない場所にコンビニエンスストアがあるなど、都市生活の延長というような機能が存在するのが一般的だ。あるいは、道の駅なども全国に点在する。
すべてのコンビニエンスストアや道の駅に充電設備があるわけではない。しかし、様々な場所に急速充電器が設置されてきているので、逆に、閉鎖の一途をたどるガソリンスタンドより最寄りにあるかもしれない。
EVへのさまざまな懸念は、使ったことがないからの不安もあるが、エンジン車と同じ使い方で考えてしまうから不安が募る。EVとエンジン車は、扱いが大きく異なることをまず理解し、そこからキャンプなどアウトドアの休暇を計画していけば、不安は解消するだろう。レンタカーのEVもあるので、予行演習も兼ねて事前に扱いを確かめておけば、EVが楽しい旅の友となるはずだ。