走るステージや目的別の専用車高調が人気
近年、専用車高調なる言葉が一般化しはじめている。その名のとおり使用するステージやジャンルに合わせて専用設計された車高調を指しているのだが、具体的には何が違い、どのような部分が専用なのか? そんな疑問について、数多くの専用車高調をラインアップするチューニングメーカー「エッチケーエス(HKS)」に伺った。
設計からセッティングまで専用の仕様に
専用車高調とはスプリングレート、減衰力、ストローク量などを、走りのステージや特性に合わせて専用セッティングしたモデルのこと。単純にローダウンすることが目的のストリート用モデルは比較的オールラウンドに作られていることが多いが、モータースポーツの競技に合わせて設計されているモデルはかなり絞り込んだセッティングが施されている場合もある。まさに専用設計の車高調と言えるだろう。具体的にはそれぞれの特性はどのようなものなのか。
サーキット用
まずはサーキットでのグリップ走行を想定した車高調から紹介していこう。HKSであればハイパーマックスシリーズの「マックスIV SP」がそれに該当する。サーキット走行を想定して高いスピードレンジに対応する性能を備え、減衰力もスプリングレートも高めに設定されている。また路面の安定したサーキットに合わせた特性としているのも特徴。具体的にはショートストロークでハードなレートを備えているというのが基本設計だ。
ただし、設計自体はストリート向けスポーツサスペンションの延長線上にあるので、街乗りで利用しても大きな不具合はない。またHKSではスプリングレートや減衰は変更が可能なので、よりストリート向けなセッティングに変更するユーザーも多いという。逆にスタンダードなマックスIV SPよりもよりハードなセッティングにして、サーキットスペシャルを作るケースもある。
ドリフト用
次にドリフトを想定したモデルが「ハイパーマックスD’ノブスペック」だ。ドリフトの走行スタイルに合わせたセッティングで、もっとも顕著なポイントは“ドリフトのきっかけを作りやすい”点だ。ただし滑り出しても破綻しにくい確実なトラクションを得やすい性能も兼ね備えている。この両者をバランスさせることがドリフトに合わせた専用設計と言えるだろう。
さらにしっかりトラクションがかかり前に進む、さらに車両姿勢のコントロールがしやすいのもドリフトにマッチする足まわりの特徴だ。具体的にはグリップのサーキット走行向けに比べれば減衰は弱めで、スプリングレートは同等といったスペックを持つ。このセッティングはドリフトのみならず、ショートサーキットでの旋回性を上げる走り方にも合っている。またグリップ走行用と同じく街乗りで使用することも可能だ。