マクラーレン初の量産プラグインハイブリッドモデル
F1GPに参戦を続ける一方で、スーパースポーツカーのメーカーとしても知られるマクラーレン。新たに登場したアルトゥーラ(Artura)を発表しました。早速その中身を紹介していきましょう。
発表会ではF1GPドライバーとして新たにチームに加わったダニエル・リカルドがブランズハッチ・サーキットでアルトゥーラをドライブする映像が配信されるなど、マクラーレンならではのプロモーション展開となっています。
映像の中でリカルドは、ドリフトを駆使して自在にアルトゥーラを操りながらサーキットを周回した後、ホームストレートでは完全なEV走行に切り替え「これが一番好きなところ」とコメント。そして「凄いだろう、この静寂」と笑顔で語っています。
アルトゥーラは2012年に登場したマクラーレンP1、19年にリリースされたスピードテールに続くハイパフォーマンス・ハイブリッド・スポーツの第3弾。そして同社初の量産プラグインハイブリッド(PHEV)モデルです。カーボンニュートラルに向けて大きく加速しているトレンドに則ったモデルということになります。
メカニズム的にはカーボンファイバーで成形されたモノコックに、アルミニウムで成形されたフロントのクラッシュビームと、同じくアルミニウム製のリアサブフレームを組み合わせたシャシー。
そして電動化や自動運転などを進めるうえで多くのメーカーにも採用されるようになった、ドメインと呼ばれる機能別領域ごとにECUを束ね、ドメインコントローラーで各ECU間の通信や協調性行を行う“ドメイン集約型アーキテクチャー”を核とする全く新しいマクラーレン・カーボン・ライトウェイト・アーキテクチャー(MCLA)が大きなポイントとなっています。
このMCLAは、今後のマクラーレン製品の基盤となる技術であり、それを使用する第1弾がこのアルトゥーラということになります。ハイブリッドのパワーユニットを使用するだけでなく、こうした最新のアーキテクチャーを使用することからも、アルトゥーラが新世代のスーパースポーツと呼ぶに相応しい1台ということになります。
0~100km/hの加速は3秒ジャスト
パワーユニットは、M630と呼ばれる新型の3リッターV6ツインターボのガソリンエンジンとアキシャル・フラックスEモーターを組み合わせたもので、それぞれ585PSと95PSの出力を生みだす。ユニットとしての最高出力は680PSとなり、0~100km/hの加速がジャスト3秒という、猛烈なパフォーマンスを実現しています。
エンジンに加えてモーターもミッドシップに搭載し、シンプルに後輪をドライブする駆動レイアウトとなっていますが、8速のツインクラッチトランスミッションに、マクラーレンとしては初となる電子制御ディファレンシャル(eデフ)を採用、左右のドライブシャフトに配分するトルクを精密に制御しています。
サスペンションは、基本的には前後ともにダブルウィッシュボーン式ですが、リアのロワアームにはマルチリンクを採用。そもそも、こうしたスーパースポーツやレーシングカーでは、ジオメトリーの設計の自由度が高いことを理由にダブルウィッシュボーン式サスペンションを採用しているケースが多いのですが、アルトゥーラでもまたホイールセンター前方のタイロッド(トーコントロールアーム)やアップライトの位置を最適化することなどによって、思い通りのジオメトリーを実現しているのです。