リーズナブルな外装パーツも用意
エアロはかなり高級仕様となったが、星野氏は「ノーマルのボディのままで乗る人でも、手軽に装着でき、ひと味違う雰囲気が楽しめる製品も必要」と感じた。そこで、開発したのが「リアガーニーフラップ」だ。比較的小振りのウイングであるため、大型のFPR製リアウイングでは派手過ぎると思う人でも、「(クルマに)さりげないオシャレができる」製品だ。材質はゴムの一種であるPVC製で、塗装なしでそのまま装着が可能。しかも価格(税別)は1万9800円とかなりリーズナブルなのもうれしい。
手軽さでいえば、「カーボン調フェンダーダクト」も注目だ。AESという樹脂を使い真空成型したこの製品は、まるでカーボンのような柄が出ているため、ボディサイド部にレーシーな雰囲気をプラスできるのがポイントだ。しかも、装着はやはりそのままフロントフェンダーに付けるだけで、穴開けなど面倒な加工も不要だ。価格は未定(2021年2月末現在)だが、リアルカーボン製に比べれば、こちらもリーズナブルになることは間違いない。
新作マフラーはかなりの自信作
前述の通り、スカイラン400R用製品は、インパルにとってフラッグシップ的なポジション。こだわったのはエアロだけではない。特に、星野氏が「かなりの自信作」だというのが「インパルマフラー」だ。
マフラーの中間からテール部分を変更するIMPUL エアロダイナミクスシステムを採用したステンレス製で、400R用リアバンパー専用の左右W出しタイプ。エンド部をチタンカラーにすることで、スポーティな雰囲気も演出する。
また、排気サウンドがいい。星野氏によれば、「ノーマルマフラーのサウンドは、全域で比較的低音域の設定だから、エンジン回転を上げてもあまり音質は変わらない。その点、新作マフラーは4000回転くらいから一気に高音質に変わることで、かなりレーシーな雰囲気を味わえる」という。しかも、「うるさすぎない微妙なバランスを取った」ことで、まるで欧州車のスポーツグレードが奏でる排気サウンドのような、ラグジュアリーな雰囲気も合わせ持っている。価格(税別)は23万8000円だ。
サスペンションやホイールも開発
ほかにも、オーリンズと共同開発した全長調整式の「インパル・オーリンズスーパーショック(税別31万8000円)」や、最適な減衰力を設定した「インパル・スーパーショックタイプⅠ(税別11万円)」などのサスペンションも設定。いずれもスポーティな走りと乗り心地を両立させた逸品だ。また、ノーマル車の走行モードを活かしつつ、乗り味を向上させる「インパル・スポーツコイルスプリング(税別4万円)」も用意する。
さらに、ホイールも新作「インパルRS05RR Supervised by ENKEI」を用意した。
シャープな15本スポークを採用した20インチで、生産は世界的ホイールメーカーの「エンケイ」が担当。独自の「MAT-DURA FLOW FORMING」製法により、鋳造ホイールながら、鍛造タイプと同等の強度や軽量化を実現している。
また、各スポークは、表面をポリッシュ加工した上で、ブラッククリアを施す。光りの当たる具合で、サイド部と表面がまるで黒いグラデーションがかかったような、色調の変化が楽しめる。価格(税別)は7万7000円~7万9000円だ。
馬力より求められるものとは?
インパルはかつて、エンジンチューニングまで施したハイスペックなコンプリートカーなども販売してきたが、スカイライン400Rに関してはどうなのだろうか。星野氏によれば、「ノーマルで(最高出力)405spもあるため、そこまでは考えていない」という。
それは時代のニーズも関係しているのだろう。確かに、80年代や90年代など、市場がさらなる馬力を追い求めた時代もあり、インパルでも歴史に残る高性能マシンを作ったこともあった。だが、今はそれよりも燃費や、より安全にクルマを楽しむことが重視されている。また、400Rのようなモデルの場合は、ユーザーの年齢層が比較的高いため、さらなる高級感などもカスタマイズ製品には重要なファクターだ。
「時代の流れに逆行することなく、インパルらしさを追求した製品を生み出していきたい」という星野氏。そこには、日本一速い男と呼ばれた父・星野一義氏が作った伝統を継承しつつも、新しいインパルを作りだそうとする決意が感じられる。
インパル製品は、全国の日産ディーラーでも購入・装着ができるため、ユーザーは安心して愛車をカスタマイズできる。また、日産車のみに特化している点も、昔からのファンやクルマ好きにとっては大切な要素だ。これからも、そういった魅力を維持しながら、さらに進歩を続けるインパルに期待したい。