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アマチュアでも出られる世界選手権「WRC」への道! 最大のハードル「マシン」の費用とは

世界トップドライバーと同じ競技フィールドで戦うために

 国内B級ライセンスを取得し、マシンやウエア類を用意してラリー競技に参戦。国内A級ライセンスの取得後に日本選手権で6回以上の完走を果たせば、国際Rライセンスが取得できることは前回の記事で紹介したとおりだ。これで最終目標のWRC参戦に一歩近づいた状態だが、それ以外にもハード面およびソフト面で様々な準備が必要となる。 とくに注意したいのが、ハード面となるマシンだと言えるだろう。

参戦マシンは国際規定に合っているか

 レーシングスーツやシューズ、グローブなどは、あらかじめ国際規定モデルを用意しておけば国内のラリー選手権はもちろん、WRCでもそのまま使用可能だが、マシンに関しては国内ラリー競技モデルで参戦することは難しく、国際規定に合わせた仕様変更が必須となってくる。

 以前、紹介した通り、国内ラリーに合わせてマシンを製作する場合、4WDターボのRJ車両であれば最低でも300万円以上、ECUやブレーキキャリパーなど最高峰のスペックで製作する場合は1000万円以上の製作コストが必要といわれているが、それにプラスして国際規定にアレンジするためには、FIA公認の安全燃料タンクや自動消化器などが必要となることから部品代や工賃を含めると、かなりの出費が必要となってくる。

 もちろん、国際規定モデルを購入すれば、そのままの状態で参戦可能だが、その辺りはどうなっているのか。2000ccターボの4WDモデル「シュコダ・ファビア R5」と1600ccターボのFFモデル「シトロエンDS3 R3」、1600ccターボのFFモデル「プジョー208 R2」を有する名門チーム、クスコレーシングのチーム代表、長瀬努氏に尋ねてみると「R5仕様車の中古車両は2000万円ぐらいで購入することはできますが、スペアパーツの代金が3000万円ぐらいはかかります」とのことだった。

 これは、R規定の最高峰モデルとなるレーシングカーの国際規定モデルであるFIA-GT3と同様に、5000万円以上のコストが必要になる、ということのようだ。  

プライベーターがクリアしてゆくWRCへの段階

 その一方で長瀬氏によれば「中古車であれば、R3は1000万円、R2は600万円ぐらいで購入可能です。ロジスティックに300万円ぐらいの追加コストが必要になりますが、R5のようにスペアパーツもそんなに必要ではないので初期費用は抑えられると思います」とのこと。同じ国際規定モデルでも、R3、R2の下部クラスになるとプライベーターにも手が届く範囲だといえるだろう。

 ちなみに、気になるランニングコストもまずますの金額で、WRCへのエントリーフィーはイベントによって異なるが、世界選手権ポイント加算の対象外となるノンプライオリティでのエントリーであれば50万円前後のイベントが多い。実際にラリージャパンのエントリーフィーは45万円の設定となっている。

 もちろんその他に、FIA公認バーコード付きのラリータイヤが必要となるほか、宿泊費や移動費なども必須となる。それでも海外へ遠征する場合はかなりの出費が必要となるが、世界選手権として国内で開催されると考えれば意外とリーズナブル、と言えなくもないだろう。

 このように世界選手権といえども、WRCにはプライベーターも出場可能で、国際Rライセンスを取得して、規定に合致したマシンとヘルメットやスーツなどのウエア類を用意すれば参戦可能なのだ。

 もちろん、そのためにはかなりのコストが必要となるほか、スキルに関しても大幅なレベルアップが必要となることから、一朝一夕にWRCへチャレンジすることは難しい。だが、段階さえ踏めば実現できるステージとなる。憧れのワークスドライバーと同じ舞台にチャレンジしてみてはいかがだろうか? 

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