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装着するだけじゃ意味なし! リヤウイングは角度調整が重要だった

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TEXT: 佐藤 圭(SATO Kei)  PHOTO: スバル、ポルシェ、Auto Messe Web編集部

サーキットでダウンフォースを稼ぐことが目的

 GTウイングに代表されるアフターパーツの大半、またスポーツカーなら純正でも見かける角度調整式のリアウイング。果たしてどれだけ走りに影響を及ぼし、ドライバーが体感できるパーツなのだろうか。

装着すればダウンフォースを得られるというわけではない

 レーシングカーでは当たり前のように装着しているリアウイング、ダウンフォースを稼ぐことが目的なのは説明するまでもない。とはいえ足まわりなら車高やダンパーの減衰力、タイヤなら空気圧のセッティングが必要なのと同じで、装着するだけでOKというワケにはいかないのだ。2019年のスーパーGT鈴鹿戦に出場していたプリウスGT300

 ダウンフォースが小さすぎれば挙動が不安定になりパワーを路面へ伝え切れず、逆に過度に大きいとタイヤがグリップし過ぎて最高速が落ちる、といったデメリットが発生してしまうケースも往々にしてある。走る日の路面コンディションは当然として、エンジンパワーや足まわりやタイヤなどをトータルで考え、最適なダウンフォースを導き出す必要があるというワケだ。WRX STI 4ドアセダンをベースにしたS206も角度調整式リアウイングを採用

ウイングの角度によって乗り味が変わる

 そのため『GTウイング』と呼ばれる製品のほとんどには角度調整機能があり、純正でも日産スカイラインGT-R(BCNR33やBNR34)はリヤウイングの角度を調整することが可能。セットアップの方向性はさほど難しく考える必要がなく、ダウンフォースを大きくしたいなら立てる(角度を大きく)、小さくしたいなら寝かせる(角度を小さく)だけ。日産スカイラインGT-R(R33とR34)は純正ながら角度調整式リアウイングを採用していた

 角度を大きくすればするほどダウンフォースの量も増え、リヤタイヤを地面に押し付ける力も強くなる。その結果トラクション性能が向上したり、コーナリング中の挙動が安定するといった恩恵を得られるワケだ。逆に角度を小さくすればダウンフォースの量が減って、リヤタイヤを押し付ける力が弱くなり、トップスピードが伸びたり加速がスムーズになる。スーパーGTに参戦するカルソニックスカイラインのリアウイングも細かいセッティングができるように角度調整式となっている

走るコースにとってはウイングの角度や取り外す場合も

 ただし冒頭でも説明したとおり、ダウンフォースとトラクションなどはトレードオフの関係にあり、ひとつ間違えるとタイムアップどころか遅くなってしまうケースも。サーキットなら「どの区間を速くすればトータルでのタイムに結び付くか」を考え、ウイングの角度を変化させたり場合によっては取り外すのがセオリーだ。ウイングの角度によってはタイムアップどころか遅くなってしまうケースも

 ストレートが長いコースでハイパワー車ならコーナーをある程度は捨ててでも、脱出してからの加速とトップスピードを重視しウイングを寝かせる。雨や気温が低く滑りやすい路面だったりタイヤがプアな場合は、挙動を安定させアクセルを踏めるようにウイングを立てるなど、状況に合わせてセッティングしなければ宝の持ち腐れになってしまう。ウイングは、状況に合わせてセッティングしなければ宝の持ち腐れになる

 なおウエット路面で急加速するような危険な運転は別として、ノーマル車両で一般道を法定速度で走っている限り、角度調整の効果をハッキリ体感するのは難しいかもしれない。やはりサーキットのように制限速度が存在せず、リスクも少ないステージでこそ本領を発揮するアイテムといえるだろう。

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  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 1974年生まれ。学生時代は自動車部でクルマ遊びにハマりすぎて留年し、卒業後はチューニング誌の編集部に潜り込む。2005年からフリーランスとなり原稿執筆と写真撮影を柱にしつつ、レース参戦の経験を活かしサーキットのイベント運営も手がける。ライフワークはアメリカの国立公園とルート66の旅、エアショー巡りで1年のうち1~2ヶ月は現地に滞在。国内では森の奥にタイニーハウスを建て、オフグリッドな暮らしを満喫している。
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