ドライバーの安心感が向上するといったメリット
低いスタイリングとツライチに決めたタイヤ&ホイールは、どんな時代でもドレスアップの王道であることに変わりはない。見た目がカッコよくなるのは当然として、その他にどんなメリットがあるのだろうか。説明をしていこう。
重心が低くなるとコーナーリングが安定する
ローダウンすることで得られるルックス以外のメリット、それは何といっても操縦安定性が高まることだろう。車高が低くなればロールセンターと呼ばれる、車両がロール(傾く)する中心も下がり、コーナリングの安定感が増すというワケだ。
それは旋回速度の上昇に直結するし、運転手や同乗者の安心感にも繋がる。ただし何ごともやり過ぎは禁物で、過度なローダウンには弊害も多い。知ってのとおり保安基準では最低地上高が9cmと定められており、それを下まわると車検をクリアできないばかりか、違反のキップを切られたり整備工場で入庫を断られることもある。
また大きい段差や深い轍がある道路を走れなかったり、入れる駐車場が限定されるなど不便なことが多い。特に大柄なバンパーやリップスポイラーを装着しているクルマは、最低地上高が9cmを確保していても神経を使うこと確実だ。走りの面でもサスペンションの動きが制限され、乗り心地が悪化したりアライメントが大きくズレるなど、本末転倒な結果を招くことがあるので注意したい。
なお保安基準に適合した車高でも上で挙げたデメリットが発生する場合があるので、ローダウンする量や付随するパーツ(調整式のアームなど)は、その車種に詳しいプロショップと相談して決めるのが無難だろう。
ツライチにしたらトータルでセッティングをしないと効果が無い
次はツライチに関して。ホイールのリム幅やインセットを変更したり、スペーサーでフェンダーの外側と合わせる手法で、メリットはトレッドが広がることによる安定感の向上だ。もっとも足まわりやタイヤを純正のままツライチにするケースは珍しく、すべてがトレッド拡大による恩恵とは断言できないけど、純正はフェンダーのだいぶ内側にセットされているので、それと比較して踏ん張りが効くようになるのは間違いない。
結果としてローダウンと同じくコーナリング速度や、ドライバーの安心感が向上するといったメリットが生まれる。そして当然ながらデメリットも存在。ツライチにすればするほどフェンダーの「ツメ」と干渉する可能性が高まり、ツメ折りの対策をせずに放置するとタイヤが深刻なダメージを負ってしまう。
また足まわり全体のバランスが崩れるのも必至なので、ツライチにしただけで走行性能が上がるワケじゃなく、むしろ下がってしまうこともあると覚えておこう。走りに活かすなら車高やアライメントを含め、トータルでセットアップするのが不可欠だ。
同じくフェンダーのツメ折りは必須となるが、フェンダーの外縁から少し内側にセットする、俗に『ツラウチ』と呼ばれる方法もある。走りとは関係ないけどツライチに対する利点は、フェンダーがタイヤに被ることでより車高の低さをアピールできる点。
さらにタイヤ&ホイールがフェンダーの内側に収まっているので、保安基準に抵触しない(車高なども基準内であるのが前提)点も見逃せない。レーシングカーのようなスタイルを目指すなら、ツライチよりツラウチのほうがリアルに見える。