まずは全ての人が「誰のため」「何のため」の標識かを認識すべき
70歳以上のドライバーを保護するという観点からクルマへの取り付けが推奨されているのが高齢者マークだ。「四つ葉マーク」などと呼ばれ、すで広く知られているため、四つ葉マーク=高齢ドライバーが運転していることがわかり、周囲のドライバーの高齢者ドライバーへの思いやりのある運転のためにもアピール度は高い。
しかし、一方では高齢者マークを取り付けると「周囲のドライバーからじゃまにされる」「幅寄せされるなど迷惑運転を受ける」「高齢者だと思われるのが恥ずかしい」といった意見もあり、取り付けを敬遠してしまうケースもある。一時期は罰則ありの取り付け義務だった高齢者マークだが、現在は取り付け義務のないマークとなっていることも高齢のドライバーが高齢者マークを取り付けていない理由にもなっているようだ。
反面、一部の高齢者ドライバーに車いすマークを取り付けているケースが見られる。駐車スペースなどにも掲示されることが多くなっている青地に車いすをかたどった車いすマークは、多くのドライバーが駐車場などで見たことがあるマークだろう。しかし、このマークの本当の意味を知っているドライバーは多くないかも知れない。そもそも車いすマークとは高齢者マークなどのようにクルマ用に設定されたマークではなかったのだ。
「車いすマーク」本来の意味とは
車いすマークとは日本障害者リハビリテーション協会が普及・仕様の管理を行っている国際シンボルマークだ。「障害をもつ人々が利用できる建築物や施設であることを示す世界共通のマーク」という意味合いを持ったものであり、駐車場などの施設に取り付けられているのが正しい運用スタイルだ。
つまりクルマに取り付けている車いすマークは特に意味あるわけではなく「車いす利用者が乗っています」さらには「身体の不自由な乗員が乗っています」という周囲へのアピールマークとして貼られているものと考えられるのだ。
そんな車いすマークをより広義にとらえて、高齢者がクルマに取り付けるケースが一部で見られる。このマークをクルマに取り付けていると、車いすマークが掲示されている「障がい者等用駐車スペース」に誰でもクルマを停めても良いように勘違いしがちだが、「障がい者等用駐車スペース」はあくまでも障がい者や妊婦さんなど、移動が困難が方が駐車するスペースであり、車いすマークさえ貼っていれば誰でも停めていいという性格のものではない(ただし障がい者以外が駐車することを禁じるなどの法的な拘束力もない)。
安易に車いすマークを愛車に付けるドライバーの中には、そのようなメリット(という表現もどうかとは思うが)を受けることを目的としている不届きなドライバーもいるようだが、厳に慎みたい行為だ。