応用形1:「フィン」タイプや「ツインスポーク」
以上が主な基本形だが、スポーク・ホイールには、さらに「フィン」タイプというものもある。これは、例えば15本スポークなど、スポークがより多く並び、より細くなっているため、突起状の構造で放熱効果を出す「フィン」カバーのような見た目となることが由来だ。
こちらも、10本スポークなどと同様、高級感などを演出ができるが、よりスポークが多い分、デザインによっては航空機のエンジンのようなスポーティさや、繊細さによるエレガントさなどを出すことができる。
スポークタイプには、ほかにも「ツインスポーク」というタイプもある。これは、例えば、スポークの先端が2つに別れリム部と接合したり、センターから2つに別れリム部へ伸びているような形状だ。例えば5本スポークが2つに分かれている場合は「ツイン5本スポーク」、10本スポークの場合は「ツイン10本スポーク」といった表現をする。
このタイプの場合は、スポークタイプが元々持つレーシーな雰囲気に加え、各スポークが伸びやかにリム部へ繫がる印象を出しやすく、ホイールをより大きく見せる演出などが可能だ。
応用形2:「深リム(ディープリム)」
「スポーク」、「メッシュ」、「ディッシュ」といった基本3原則のホイールには、いずれも「深リム」または「ディープリム」とよばれるタイプもある。ホイールのディスク面がリム部の内側で接合しているものだ。
かつては、ディスク面とリム部が別々のパーツで構成されている2ピース構造や、さらにリム部が2つの部品で構成された3ピース構造のホイールに採用されている例が多かった。だが、最近ではディスクとリム部が1体構造の1ピースにも、深リムのようなデザインを施したタイプが出てくるなど、近年人気が高いデザインだ。
深リムのメリットは、ホイールにより立体感が出せることだ。また、車種にもよるが、クルマのフェンダーなどに設けられた、ゆるやかな膨らみなどとの一体感も出せる。ディスク面をブラック、リム部をアルミ色やシルバーなどにすることで、ホイールを2トーンカラーにすることも可能。さらに、極太タイヤを履かせたようなレーシーな雰囲気が出せるといった効果も生まれる。
なお、深リムには、さらに2つのバリエーションがある。リム部が外側からディスク面へ真っ直ぐに伸びた「リバースリム」と、リムの外周にあるフランジ部に段が付いた「ステップリム」というタイプだ。
よりリム部が深い感じを出すならリバースリム、ステップリムは昔からレーシングマシンなどにも採用されていたことから、よりスポーティさを強調することに向いている。
深リムのホイールを装着するには、きちんと愛車にあったホイールオフセットが必要のため、かなりカスタムの上級者向けだ。ただし、2ピースや3ピースのホイールなら、価格は高くなるが選べるサイズが豊富なため、比較的マッチさせやすいだろう。
応用形3:「コンケーブ」デザイン
最近人気のデザインには、「コンケーブ」という形状もある。これは、「凹面の」という意味の英語「CONCAVE」が由来で、ディスク面のセンターからリム部にかけて、なだらかな膨らみを持つタイプだ。ディスクは、センター部でより手前に出て、リム部で最も車体側に入っている形状が一般的だ。
スポークタイプやディッシュタイプに採用されることが多いこの形状は、やはりホイールをより立体的に見せる効果がある。前述した、深リムとコンケイブを組み合わせたホイールも多く、そういったタイプではホイールにさらなるインパクト感などが演出できる。
また、ブレーキにビッグキャリパーを装着する場合に、スポークタイプのホイールがコンケイブ形状になっていることで、上手くキャリパーとの干渉を避けられるケースもある。もちろん、きちんとサイズを合わせないとだめだが、そういった微妙なセッティングができるのも、このデザインのメリットだ。
以上、最近人気が高いホイールのデザインについて紹介した。実際に購入する際は、いかにホイール単体のデザインが気に入ったとしても、実際に愛車へ装着したら「全然似合わない」といったこともあるので気をつけよう。
ショップで購入する際は、できれば、事前に候補に挙げたホイールのサンプルを幾つか用意してもらい、1つ1つ愛車のホイールの橫に置いてみるといい。それをある程度の距離で真横から見れば、装着した時のイメージが分かるからだ。ちょうど、服やスニーカーなどを購入前に試着し、自分に合うか鏡で見てみることと同じだ。
ホイール選びは、愛車に合うサイズなのかや組み合わせるタイヤなども重要だが、購入した後に後悔しないよう、ぜひデザインについても、事前のイメージ合わせを忘れずに。